NO126/夢の続き日記2
ケンジ1976年昭和51年4月26日曇り
今日はジロー君らの「しろうとコメディアン道場」出演の応援に行った。まだてめえの頭の上のハエも追えないうちから、他人様の応援に行くなんてずいぶん気のいい話だ。と、人が見れば思われるだろう。それは言える。
しかしマァージロー君らのコンビ、テレビ初出演だし応援に行ったっていいじゃない。
私の思った通り、ジロー君らは審査員にプロ並みだと言われる程他よりうまく、楽に一週目をパスした。
でもその裏腹には、あまりに作られ過ぎていて、銀座テレサの若年層の客にはあまり受けきってはいない、といった面も私の思った通り指摘された。ジロー君らの今後の課題は、もっと若向きに臭みを抜くこと、アカ抜けることだと確信する。
ケンジ1976年昭和51年4月27日(火)曇り
私らのコント、コントそれ自体には十二分の自信がある。でも昨日ジローさんらの応援に行ったあのたくさんのライトの熱気と若者たちの熱気とによってムンムンしているスタジオで、私の目がどうにも正常を保てず、ショボついたのがまた悩みの種となった。
もし私がこれからプロとしてやって行くのだったら、ああいう場所で当然やるし、いちいち眼のあたりがショボショボしていたんでは話にならないのだ。普通の人なら平気なのに何故私の眼はクシャクシャするのか、どっか悪いんだ、そう考える以外にない。とにかく私は今、普通の体を持ち普通の顔を持ちたいのだ。
健全な身体がなければ芸もへったくれもないのだ。この急激な痩せ方といい、何か疲れやすいことといい、もう内科以外に考えられない。全てに万全を期して芸に望もう。
ケンジ1976年昭和51年 5月12日(水)曇り
今は、日の出町から通っている。
今夜は、母の茶飲み友達という神田さんというおじさんが、九州旅行のおみやげを持って来訪。私も母がお世話になっているからということで一応顔見せをする。頭はハゲ上がっているが結構丈夫そうなおじさん、それが第一印象であった。母もあんな茶飲み友達が出来たんでは、いい話相手になり結構なことである。
今夜その人が来るというTELがあった時の母の落ち着きのない様子を見て、母も女なんだなァ―と改めて感じる。私としてもこんな経験をするとは思いもかけなかった。
ケンジ1976年昭和51年5月19日(水)雨のち晴れ
今夕は初めてフォークのコンサートを聞いて来た。望月さんにもらった券でだ。会場は六本木の俳優座劇場、出演者は三浦久、河島英五と彼が率いるホモサピエンスというフォークグループ。そしてゲストにどういうわけか歌謡曲歌手林寛子が出たのだ。私としては、フォークコンサートという雰囲気がつくづく勉強になった。この前ジャズを聞きに行った時よりは私の感覚には適していたようだ。
もちろん客層は若い人ばかり、大体二十歳前後といったところだろう。曲自体の感想を言えば、作詞にも作曲にもそれぞれの持ち味のようなものを感じて良かった。自由に好きなように歌っているのがほんとに良かった。
また、林寛子もまだ17、8歳だと思うのだが、朗読などもやって妙に大人びて見えて良かった。何か林寛子のファンになりそう。そういう感じ。マァー、フォークというのはいろいろ主義主張のようなものがあっていいものだ。以上!
ヒロト2022年令和4年7月28日(木)
NO124の繰り返しになるけど勘弁してね。夢の続き日記としてまとめてみたいので。
『70歳 俺っちの夢の続き日記』その2
待つ身に時間は長い。たった一日二日なのに。
第一、返信があるとは限らない。一般の応募なんて、代表がいちいち見ないかも知れないし、そもそも見たとしても、こっちは勝手にやめた身、相手にされないかも知れない。
自分の気持ちを無理やり、駄目でもともとじゃないか、の方に持って行こうとしていた。
三日目の昼休み、スマホの通知画面に
「メール見ました」の文字。
ん?!もしや?!メールを開いてみる。
まさきさん
本当にお久しぶりです。
70歳になりました?
連絡を下さって感激です。
電話下さい。 ・・・ ・・・・ ・・・・
感激?してくれたの?やった!
鳥肌が立った。直ぐに電話だ。出ない。しばらくしてショートメールが来た。
今、出られないのですが、
どなたでしょうか。
まさきです。
ちょっと諦めかけていたメー
ルの返信が来てサブイボです
しばしののち、電話がかかって来た。
いきなり笑い声、こっちも笑うしかない。
どしたのまさきさんと来たからまたやりたくなったと言ったら、じゃまた一緒にやりましょうということになった。四の五の言わぬ、昔から女性とはいえ男前の性格だ。近々会う約束をした。
さあ、次の問題はカミさんだ。今度のことは、まだ一言も言っていない。売れない役者を何十年も続けて来て、そりゃあ、一番苦労かけてきたのはカミさんだ。それをまた70過ぎた亭主が始めるという。反応が恐ろしいけど言わないわけにはいかないだろう。
さあ、どうなるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます