NO124/ケンジ、俺も始動

ケンジ1976年昭和51年3月16日(火)

今日はリハーサル日、ジロー君の相棒小林君も参加した。そこで知った。小林君というのはかなりサエてる男だということだ。初めてのリハーサルであれだけ動き、当てるのは相当な勘の持ち主だ。ジローの漫才の相棒だけのことはある。あの二人ならかなりいい線行くんじゃない。もしあの小林君のサエをそのまま彼ら二人の漫才に反映させることができたならば、いい線行くよきっと。

こっちの方はモウリさんの腰が治るまでは一人でやってるよりしょうがない。しかし、モウリさんが小林君よりも劣るとは決して思わない。モウリさんと私のコンビは必ず彼らの上を行く。これ絶対!


ケンジ1976年昭和51年3月19日(金)

今日も稽古は休み、モウリさんにTELした結果、私らのコンビの名前は一応、ドレッシング、何となくいい感じなのでそうしたのだ。あとは写真撮影と名刺作成、売り込むのみ。


ケンジ1976年昭和51年3月24日(木)

さて、明日は忙しい。まずジロー君のアパートへ行き、名刺ができたかどうか聞き、そして教会で稽古、そしてモウリさんと日テレへ行き、モウリさんをスターアクションのスタッフ連に紹介し、衣装を借り、再び浅草に戻り、マルベル堂でプロマイド撮り。

その後即立川へ、この前高校時代の親友能ブーからTELがあり、明日午後6時からの立川、黄色いビル4階で開かれるクラス会に出席することを約束したためだ。ついでに日の出町の実家へも帰り、できれば資金をちょっくら借り、靴ズミとかブラシとかもいろいろ持って来ようと思う。そうだ、フライパンも持って来よう。ということで明日明後日と日の出町へ帰るので、日記ともちょっくらご無沙汰である。それにちょうどこの日記帳もこれをもって終わりだし、ちょうどいいや。今度書く時は新しい日記帳に、また新たに、今度こそ一花咲いた模様を書けるよう努力したい。さて、今度の日記帳で果たして私は花咲くだろうか。イヤ、咲かしてみよう男なら。


ヒロト2022年令和4年7月24日(日)

朝からバタバタだ。

今朝の俺は6時前に起き、よく晴れていて暑そうなので、いつもは散歩気分で20分駅まで歩くのをやめて、家から2、3分のバス停、6時44分発に乗ることにした。

時間はたっぷりある。日曜日で家族はまだ寝ているので、テレビを小さな音でつけ、窓を開ける。気持ちのいい朝だ。トイレはもちろん、歯を磨き、顔を洗い、いつものストレッチ、これを始めてから腰の調子はいい。ゆっくり身支度して、6時25分、そうそう今日は民間業者が資源ゴミを回収する日だ。空き缶潰してレジ袋に詰めた。段ボールもだ。6時30分、まだ余裕だ、段ボールまとめて6時35分、少し早いけど出掛けよう。家族を起こさないように玄関を出て鍵を掛ける。いつものカバンを肩に掛け、空き缶、段ボールを持って三階から階段を下りる。二階で気が付いた。スマホ忘れた!充電してるままだ!

引き返した。空き缶、段ボールを置き、鍵を開ける。スマホから充電のコードを抜く。

そしてまた玄関を出た。鍵を掛け、また空き缶、段ボールを抱え階段を下りる。一階まで来た時なんとなくまたスマホを確かめた。無い!どこにも無い!考えているヒマはない!また階段を駆け上がった!空き缶段ボールを置き鍵を開けてスマホがあった場所へ、あるじゃない!

コードを抜いただけでそのまま置いてある!嘆くのは後だ!とにかくバスだ!

玄関に鍵を掛け空き缶段ボールを抱え走った!70歳走った!

ゴミ集積所に空き缶段ボールを置き、走った!70歳走った!

バス停には6時45分、バスの後ろ姿もなかった。

ふと左手に軽い痛みを感じ、見ると何時何処でぶつけたのか、甲の中指の付け根の辺りに血が滲んでいた。


その2

朝のバタバタで、汗びっしょりで電車に乗った。涼しい。日曜日なので座席に座れた。汗がひいていく。ケンジの 6冊目の日記に目を通す。なかなかうまくいくもんじゃないんだなぁとか、またパチンコかよ!なんて思いながら、うつらうつらしてしまった。バタバタで疲れたんだ、きっと。

意外と早く着き、ちゃんと松屋の朝定食、キャベツサラダの上に納豆と半熟卵を乗せ、フレンチドレッシングをかけていただく。キャベツがご飯がわりだ。どう?ヘルシーでしょ。これがまたよく合って旨いんだ。

ちゃんと仕事してお昼。休憩室で自分手製の弁当を食う。スマホを開いた。

ん?メールが来てる!

『メール見ました』

えっ、もしかしたら・・・そうでした。

NO122で書いた、夢の実現のためのメールの返信だ。

『まさきさん

本当にお久しぶりです。

70歳になりました?

連絡を下さって感激です。

電話下さい。 ・・・―・・・・―・・・・』

何故かしら、鳥肌がたった。

電話したら、昔のままの元気な声が聞こえて来た。二人とも最初は笑うばかり。昔話もした。そして、コロナ前とは三分の一に仕事は減っちゃってるけど、是非また一緒に仕事したいねという話になり、近々会う約束をしたよ。悪いことばかりじゃない。夢見ることはいいことだ。


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