NO115/人生を諦めない
ヒロト2022年令和4年7月11日(月)
〈俺っちの就活日記〉
実は昨深夜、息子とやり合った。
火曜日の面接の時、黙っているのは悪いので、もしかして営業場所が見つかったら辞めることになるかも知れないと前もって言おうと思う、と息子に告げたんだ。
息子はキレたね。そんな事聞いてない!相手に失礼だろ!仲立ちしたオレの立場はどうなる!
俺っちは、だから前もって話すんだと言っても聞いてはくれない。
息子曰く、だいたい遠くに飛ばしておいて、更にクビにされたような所に何故また戻るんだ!
俺っちは、いざとなったら何でもやる、魚屋に行ったら下働きすることになるだろう。生魚を捌けるわけではないからね。一からアルバイトと同じことだってやるつもりだ。でも、でも、正直なところ、本心では下働きはしたくないんだ。そう言うと、
息子曰く、下働きをバカにするんだ。そういうヤツには尚更、仲立ちなんてできない!
俺っちは、20年近くやって来た経験とスキルがあるはず、それを生かしたいんだ。それをするには、今の会社を利用するしかないんだ!
息子曰く、もう年なんだから諦めろ、と言ったような言わないような、何せ怒鳴り合いなので、細かい言葉はよく覚えていない。同じようなやり取りを繰り返した。隣近所に聞こえちゃったかなぁ。
俺っちは最後に断言した。恥ずかしながら、図らずも涙を流しながら、「オレはいくつになったって諦めた生き方はしないぞ!したくないんだ!」って言っちゃったよ。
息子は呆れたのか、「こんなヤツに何言ってもしょうがねぇ!」と自分の部屋に行ってしまった。
息子の言っていることに間違いはない。それはわかっているよ。でもこれは俺っちの人生なんだ。悔いなく生きたい。
なんちゃって、これ、マジの日記じゃん!
ケンジ1975年昭和50年5月5日(月)
今日は子供の日、ようやく天気の方も回復し、連休最後の日を飾ってくれた。子供たちもこれでよかったことよ!今夜はアルバイトでいろいろ片付けをやって11時ごろになり、その後、みんなで焼き肉屋で腹一杯肉を食べて、今、午前1時25分である。ビールも飲んで、現在顔が火照っている状態である。それにしてもカドヤは景気がいい。仕事が終わった時、オデンを食いたいだけ食わしてくれたり、仕事の最中にも冷たい飲み物をオゴッてくれたり、とにかく気前がいいというか太っ腹というか、マスターを筆頭にその下の人たち全て景気のいい人たちばかりである。カドヤでバイトをしている以上、食いっぱぐれるということはなさそうだ。今日の片付けというのは、神宮で行われていたTBSラジオ主催のバザールに、カドヤが出店していた店の片付けで、今日がその東京バザールの最終日であったのだ。ちょうど、縁日で出店が並ぶように何十軒、何百軒という店が参加して行われている大催物であった。とにかくカドヤは景気がいい。
ヒロト2022年令和4年7月12日(火)
〈俺っちの就活日記〉
ケンジ、いいアルバイトでよかったね。
カドヤは今でも浅草本店はじめ、いろいろなところで革ジャンなどを製造販売している老舗だね。俺っちも応募しようかな。
今日の面接だけど、一応ちゃんと受けて、その上で店を探してもらっていることなどの事情を、正直に話そうと思っている。
現在の店で時々アルバイトをしてくれている女性がいるんだけど、彼女はダブルワークで、派遣会社に登録していて、新型コロナワクチン接種会場のスタッフをしているんだ。
聞いてみると、年配の人も結構いるらしい。
派遣と言っても、昔で言う日雇なんだけど、今は全然イメージが違うみたい。
山谷などで、朝早く職安に集まり、その日の仕事にありつく。運が悪いとあぶれる。日雇ってそんなイメージがあったけど、今は全然違うんだ。
スマホで、自分の情報や希望の日や時間などを登録しておくと、わざわざ職安などに行かなくても、どこにいてもスマホに、自分の条件に合いそうな仕事の情報が送られて来る。
良さそうな仕事を選んで応募してOKだと、即日働けるのだ。
いい店舗が見つかるまでのつなぎのバイトとしては、かなり向いているかも知れない。
等々、なんだかんだ考えてしまうけど、先ずは今日の面接を真摯に受けてきます!
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