NO56/いいの?昭和のテレビ

ケンジ1973年昭和48年3月28日(水)

昨日は演舞場の三月公演も終わり、久しぶりにゆっくりしようと思ったらすぐ仕事、それも夜遅くのNET23時ショーなのであった。その出演した題名、何と「なつかしの浅草ストリップ大会」とな。これには驚いた。

始まる前はストリップなどとは別に、立ち回りをするのかなァーてなことを思っていたのだが、飛んでも八分、歩いて十五分、ストリップショーもその真っ只中、そのメインの出し物の「バンズイインチョォーベェーの風呂場殺害の場」の悪役武士として出演したのだ。その中身たるや上半身素っ裸の踊り子を羽交い締めしたり、踏んづけられたりの、私の一生を通じて初めてやったハレンチなことである。でも本番中は一生懸命やっていたので、何がなんだかわからずに終わってしまった。


ヒロト2022年令和4年4月22日(金)

話を聞いた人は役得だねっていうけど、やってる本人は結構大変なんだよね。

俺の場合はドラマだった。題名は覚えていないけど、TBSの特別ドラマ、大原麗子さん主演の江戸時代の女郎屋が舞台、俺は客の役、町人かつらをつけ衣装はふんどしと浴衣だけ。お相手の女優さんも長襦袢を羽織っているだけ。撮影するシーンは、スタジオに女郎屋の部屋が三つぐらいあって、それぞれ男女の絡みの様子を手持ちカメラで撮影して行くというもの。同じ様子じゃつまらない自分たちで考えろ、って監督が言うので3組で打ち合わせ、俺たちカップルは後ろからいくことにした。

カメリハ、本テスと進み、さあ本番。

女優さんは腹這いになる。俺はその後ろに膝立ちする。準備の為に襦袢の裾を持ち上げた。あっ!俺はすぐ襦袢を元に戻した。さっきまであった筈の下着がない!モロである。

「いいの?」俺は小声で聞いた。「履いてちゃおかしいでしょ」肝が据わってる。

俺は上半身は裸だけど、浴衣は腰のところにとどまっていて危ないところは見えないようになっている。だから俺はふんどしは付けたまま。「じゃ、いくよ!」俺は襦袢の裾を捲り上げた。心の中で自分に言い聞かせた。『反応するなよ』

本番はあっという間に終わった。「ワタシ、川崎の劇場に出てるから見に来てね」って女優さんに言われた。そっちの方もプロだったんだ。さすがだね。

ご褒美があったよ。そこの二人ちょっと残って、と言われ、番宣用のスチール撮影で俺たちカップルはまた違ったポーズをとった。

俺がふんどし一丁になって仰向け、その上に襦袢を羽織った相方が跨がる。また下着がない!襦袢で微妙に見えないようにする。

しかし、TBSのゴールデンタイムによろしかったのでしょうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る