NO33/はじめてのデート
ヒロト2022年令和4年3月16日(水)
ロシアの政府系テレビのニュース放送中に、手書きの戦争反対の紙を掲げ、あなたたちは騙されていると訴えた女性がいる。
このテレビ局の職員、自分の環境を最大限に活かした抗議行動、彼女だから出来た訴え、すごくないかケンジ。
その後自分に降りかかる逮捕、処分などわかっている上での行動、自分にその勇気はあるだろうか。
今朝のニュースで、罰金日本円にして3万円を科されて、釈放された。これがロシアの本意とは思えない。今後の彼女が心配だ。
ケンジ1972年昭和47年1月31日(月)
昨日、一昨日とアソウ先輩の下宿に泊まり、生まれて初めてアソウさんの下宿のすぐそばにある銭湯というものに入った。40円だったが、湯加減もなかなかよく、大きな鏡などもありまぁーまぁーの具合であった。
今日は午後2時から大内事務所へ全員集合ということで、私も勇んで馳せ参じた。あまり勇み過ぎて、12時ごろ事務所に着いてしまい、そこの事務所の家主のオジイさんとしばらく話し込んでしまった。話し込んだと言っても、面と向かって膝と膝を交えて話したというのではなく、障子紙越しにお互いの顔も見ずに声だけ聞きながら、20分ぐらい話したのである。それは、世間一般の老人がそうであるようなしつこさが多少感じられたが、根は気持ちの良さそうな感じであった。
さて、今日はそんな訳で大内剣友会全員の前で、正式に私とタカダ君の入会を紹介された。私の芸名も、私の意思が汲み入れられて、徹玉吾朗ということに相成った。
ヒロト2022年令和4年3月16日(水)その2
徹はともかく、玉吾朗ときたもんだ。
とりあえず、プロ集団に入ったってことだね。おめでとう!
銭湯も初めてだったんだね。銭湯と言えば、俺の小学2年の時のことを思い出す。初めてのデートの話。
ダブルデート。友達の英ちゃんのお相手はエッちゃん、俺のお相手はチカヨちゃん。場所はチカヨちゃんの真新しい団地のおうち。
打ち合わせを英ちゃんのお相手のエッちゃんと素っ裸でやったんだ。早熟?いやいや、その頃俺はまだ、母親に連れられて銭湯の女湯に入ってたんだ。その銭湯の脱衣場で打ち合わせたって訳。まだまだあっけらかんとしたもんだったね。
デートは午前中、まず英ちゃんの家の鏡の前で、お父さんの櫛で髪の毛を横分けにして、庭に咲いてたなんかの花を手に持ち、チカヨちゃんの家へ。その頃テレビで見たアメリカの「ちびっこギャング」の中で、アルファルファかスパンキーがやっていたのを真似したんだと思う。
楽しいおデートの内容は、おままごと。それぞれが夫婦になり、ご飯を食べる真似をしたり、あなた行ってらっしゃいハンカチは、なんてことをやったのは覚えているけど、あとはわからない。
お昼ごはんに、チカヨちゃんのお母さんが作ってくれた冷やし中華を生まれて初めて食べた。ちょっと酸っぱかったけど全部食べた。きっとおいしかったんだと思う。
楽しかったおデートもお昼でおしまい。帰り道、まだ殺風景な団地の庭に鳳仙花が何本か生えていて、弾けそうだったのを妙に覚えている。60年前のお話でした。
ケンジ1972年昭和47年2月3日(木)
さて、今日の仕事は東映映画、梅宮辰夫主演「夜のならず者」という映画の撮影で、清澄公園というところへロケに行ったのである。私たちは当然悪役で、ヤクザの子分たちということであった。ところが私はまだよかったのであるが、先輩のイケダさんという人などはもう大変、もとより2月3日といえば冬の真っ盛り、その上今日は特別寒い曇り空で、北風ピューピューといった調子、その寒空の中を梅宮さんに池の中へ突き飛ばされるのである。もちろんびっしょりになる。それを見事にやってのけた、大したものだ。弱い人だったら心臓マヒであの世行きにもなりかねないのだ。
ケンジ1972年昭和47年2月6日(日)
今日は4時半起きで、小田急線読売ランド前下車の生田スタジオというところへ行った。仮面ライダーのロケということだったのだ。しかしながら、マイクロバスで現場へ行ってみると、夏の場面を撮りたいというのに、なんとまだ雪が残っていたのだ。そのためにあっけなく中止となり、また生田スタジオに戻って来た。今度はセットでやるからちょっと控え室で待っていてくれというのだ。そのまま待って、10分経ち、30分経ち、1時間経ちしてとうとうお昼、そういう点は抜かりなく、コタツで寝ていた私たちの部屋に、「お昼のお弁当が届きましたからドウゾォー」と伝えに来たのだ。お昼の弁当とはカツ弁であった。まったくそういう面はハッキリしているのが、この世界のいいところなのだ。その上今日は1日分のギャラも出るというのだから、これほどいい商売はない。しかしコタツで寝たおかげでまたちょっと風邪を引き直してしまった。なんともはやカッコ悪いこと。まぁーよかったようなわるかったようなである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます