NO7/ぼっこわし屋と体育祭

ケンジ1970年昭和45年8月16日(日)

あーあ疲れた。まったく今日は疲れた。というのは、今日は億一つぁんとこの家のぶち壊し屋をやったのである。今日ぶち壊し屋をやることは、一ヶ月前からその家の人が私の家に来たりして、知らされてはいた。

ところが私は、あいにく昨日寝不足ときていて、その上にぼっこわし屋は朝が早いときている。私が昨夜寝たのが午前2時、そして起こされたのが午前5時、正味三時間しか寝てないということになる。てなもんだから、今日は大変も大変、非常~に大ごとであった。

何しろ今日は、昨日までいろいろ世間を騒がしていた台風9号が一段落ついて、ちょうど台風一過と呼ばれる、レジャーには最適な、そして炎天下での外仕事では大変な天気になった。私は本来ならば、前者のレジャーの方に力を注ぐべき存在であるが、今日は後者の方に回ったことになる。さて、その凄まじき点を一つ二つ紹介してみよう。

まず私たちは、早5時ちょっと過ぎに行ったにもかかわらず、だいぶ遅い方で、もうすでに屋根の1/3ぐらいは取り払われていた。私たちも朝食(ドンブリ飯に玉子3つ、味噌汁と沢庵)をごちそうになってから、すぐに仕事にとりかかった。

さて、大変な事は徐々に起きつつあった。陽が出る頃から始まっている、屋根を取り払った時に出る萱を燃やすことである。これは冬などならば、いっこうに差しつかえないことであるが、なにぶんにも夏、それも先ほど述べたように、炎天下で火をボーボー燃やすというのは、これは並々ならぬ苦労である。

今日はまだ、言いたいことはたくさんあるのだが、なにぶんにも眠いのでこのへんでやめておく。


ケンジ1970年昭和45年9月25日(金)

今日は体育祭であったが、あいにくお昼前に雨が降ってきて途中で中止になった。さて、そこで今日はこの体育祭の経過を報告することにしよう。まず私は、昨夜は早く寝ねばなるまい、なるまいと思いながら、とうとうナチチャコのパックインミュージックを最後まで聞いてしまって、明け方まで眠れなかった。また朝は朝で、あまりご飯も喉を通らず、ぶどう酒をおわんに注いで三杯ぐらいひっかけて行った。まあそれで、五日市駅まではよかったのだが、あとがいけない。電車に揺られているうちにまわってきてしまって、顔が火照ってきた。立川市営グラウンドに着く頃は、だいぶ火照りも収まったが、今度は頭がづきづき痛み出した。そんな訳で私の体調はショボショボ。

それはさておき、私のことより一段とびっくりしたことには、何と入場行進に参加した三年男子はわずか20人程度、一、二年の男子は共にほとんど全員参加しているというのに、こうまでみんなが受験だけにとらわれていようとは、まったく情けない話である。何しろ、最初列に並んだのは、私も入れて四人であった。まったくオドロキー、無関心、無責任、無感動。



ヒロト2022年令和4年2月6日(日)

俺も体育祭には参加しなかったな。別に受験勉強なんかではなかった。よく覚えてないけど、きっと麻雀かなんかやってたんだと思う。今考えるとお恥ずかしい限り。

でも、当時の感覚は覚えている。一年生、二年生の頃までは、行事に参加することをあまり考えずに当たり前のようにしていた。でも三年になって、ひげも少し濃くなってきちゃって、いっぱしの大人気取りになると、自分が好きでスポーツなどするのはよくても、人にやらされてる感があるものには、かなり抵抗を感じるようになったのは確かだと思う。

今現在だって、何かの折りに、整列させられて行進でもやらされたりしたら嫌だよね。

中学の時は、運動会入場行進の先頭で校旗を持って歩きたくて、生徒会長になった「ボク」がこうなるんだね。まあこれも成長だと思って、許してちょうだい。

それにしても、ケンジ、面白すぎる!

億一つぁんちのぼっこわし!

ワインおわん3杯ひっかけの体育祭!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る