NO4/高校受験勉強と兄貴のこと

ケンジ1970年昭和45年5月31日(日)

今日は中間テストの中間の休日であった。本来ならば今日のような日には、1日中夢中で勉強しなければいけないのである。特に私のような大学を目指しているような、人一倍勉強をしなければならない者はもちろんのこと、普通の高校生とて、こんな日は夢中で勉強するであろう。

ところが今日、私は全然勉強する気がわかず、気が乗らなかった。こんな調子では大学は無理だとわかっていながら、私はダメな男ねー。さて、そんなことで今日も何となく過ごしてしまった。

10時頃起きて朝食をとり、お母ちゃんの、日曜日ぐらい家のことを手伝いなさい!という小言を聞いてこそこそと二階へ行き、2時頃まで机に向かってはいた。が、全然身が入らなかった。そして2時半、タケがキャッチボールをやりに来たので、タケのバイクに乗ってアサノセメントのテニスコートでキャッチボールをした。5時に帰って 7時まで寝た。寝なくてもいいのに!


ケンジ1970年昭和45年6月1日(月)

さあ!今日からいよいよ6月だ。胸を張って、6月らしい態度で、勉強に、スポーツに、また全ての事につけて一生懸命進んで行こうと思う。

だが最初からどうもいけない。今の中間テストも勉強をやる意欲がわかない。こんな調子では大学なんてとんでもない話である。さて、今日の試験の結果だが、一昨日に続いてまたまたよくなかった。昨日は日曜日にもかかわらず勉強に専念できなかったせいであろう。まったく私の集中力のなさにもあきれる。その上、そんなことをしながらいつも試験の成績が悪いと、「私はバカなんだなー。あんな奴にも負けるなんて、もう駄目だ。勉強しても駄目だから、勉強するのはやめよう。」などということが頭に浮かぶ。無理もない。同じクラスのさほど頭が良いとは思えない奴に、笑いながら、「今日の試験は一つわからなかったけど、だいたいできた。」などと言われたら、勉強をやめたくなる。

しかし、悲観して勉強をやめるなどということはもってのほかである。明日からはやるぞ!



ヒロト2022年令和4年2月3日(水)

今日からやれよって突っ込みたくなるよ。

でも俺も勉強しなかったなあ、試験はいつも一夜漬け。大学は受けた。早稲田、法政、中央の三つ。受かるわけないよね。

思うに、やっぱりよく言われることだけど、大学に行って何がしたいかだよね。

医者になりたい、先生になりたい、あの大学でこのスポーツをやりたい、なんていうのが強くあれば、その大学に入る為に勉強すると思う。

俺は何となく皆が行くから行く派だったなあ、行けなかったけど。

ケンジの兄貴は学芸大だったよね。俺の兄貴は一橋だった。何か目標があったんだろうね。ウチの兄貴に大人になってから聞いたことがある。兄貴はこう言った。

「オヤジみたいにはなりたくない!」

「中学2年の時、外交官に絶対なる!って決めた。」

オヤジは小笠原母島出身で、戦争の為強制的に本土に引き揚げさせられ、苦労して結局は東京都公務員を勤め上げた。

そのオヤジを見て兄貴は何を思ったんだろうね。聞いてみたいけど、もうこの世にいない。

外交官になるっていうのも、就職は商社だった。その辺のことも聞いておけばよかった。

まあ、ウチのことはともかく、ケンジは凡人にはなりたくないって気持ちは強いんだよね。でもその先、じゃ、具体的に何をしてどんな人になるのか、その為には何をするのか、どんな大学に行くのか、明確なビジョンはなさそうなんだ。そんなもの持てる人の方が少ないだろうけど、持てたら強いんだと思う。

さあ!ケンジ!これからどんな頑張り、見せてくれるんだ?

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