魔法の世界で、旅をする。

@toiton

第1話三枝悠、旅に出る

あの日。

いや、あの日と言っても80年以上も前のことで俺は生まれてないんだが、今から85年前のあの日、各国の研究者たちが団結して100年以上かかって魔法を現代の技術として確立させた。

それから現在に至るまでに、世界は魔法技術の進歩で競い合うようになっていた。

魔法は軍事バランスをも崩壊させた。

そのため魔法が軍事使用されるのを防ぐために、北朝鮮とモンゴル、アフリカ数国をのぞいて魔法が軍事使用されないために条約を調印した。

そのような経緯を経て、魔法は日常生活に取り入れられることになった。

魔法は主にエネルギーを生産する魔法、エネルギーをためる魔法、エネルギー魔法。

物質を生成する魔法、物質を分解する魔法。創世魔法と分解魔法。

その他マイナーな魔法がたくさん存在している。

魔法は全員が使えるというわけではない。

世界の総人口の約十分の一ぐらいの人が使える。

そんな魔法が日常にはびこる中、俺は魔法に魅せられていた。






「おい!聞いてるか悠!」

ボーっとしているとだるそうな声で友達の吉野が声をかけてくる。

「明日までの課題写さしてくれよ~俺成績やばいんだわ。」

「しかたねぇな。」

「ありがとうございます神様!」

おれと吉野は昔からの友達、いわゆる腐れ縁だ。

最近俺は学校がつまらなくてしょうがない。なんなら生きていることさえも。

「なぁ、吉野お前って何を生きがいにして生きているんだ?」

「どうしたんだよ急に」と軽く笑い、少し悩んでから答える。


「俺は毎日が生きがい。毎日朝起きて、登校して、学校でお前としゃべって帰って風呂入って寝る。いつも同じように見えても少しだけほんの少しだけ違うんだ。そんな世界を見るために生きてる。だからお前もそういうのをいきがいにしてみたら?」


なぜか少しだけ感動した。吉野もそんなこと思いながら生きているのかと思ったからだ。

そんなことを考えていると下校時間になってしまった。

俺は教室から出ようとドアに運動エネルギーを加えドアを動かすそしてもう一度ドアに魔法をかけしめる。そう、おれは魔法が使える。と言っても簡単な魔法だが。俺はエネルギー系の魔法が得意だ。

教室から出て、校門に向かう。そこで吉野と別れて、家に向かう。

俺は都内のマンションで一人暮らしをしている。親が少しお金を持っているため、そこそこお金はある。

家に着き何気にテレビをつける。俺はこんな日々にうんざりしていた。

毎日何んとなくで決めた高校に行き、また帰ってまた寝る、これの繰り返し。

今日も何となくテレビをつけるとあるニュースがやっていた。

「今日、日本時間で午前6時アメリカ合衆国で世界初、魔法だけを使用し作った、縦400mの巨大塔マジックスピアが完成しました」

それをみて止まっていた何かが動き出した気がした。

それを見てはじめて俺はそこに行ってみたいと思った。

「そうか、俺の生きがいはこれなんだ!」

そう思ったら行動が止まらなかった。まず吉野に連絡した。

「もしもし、吉野、急だけど世界旅してみることにしたわ」


「まじか?ほんとに急だな。でもお前の生きがいが見つかったんだろ、満足いくまで行って来い。」

そう言って送り出してくれた。本当にいいやつだと本心から思った。

その後の俺の行動は早かった。

学校に休学届を出して、パスポートを取って荷づくりをした。

世界各国は軍事同盟とともに世界共同体政策が締結され、共通通貨、共通言語はアメリカに合せられた。

俺はいざという時のために英語を習得していた。幸い、金もある。


そして20日後


「じゃあいってくるわ。吉野。」


「おう!満足いくまで行って来い!」

吉野は少しさびしそうな顔を浮かべて、送り出してくれた。

俺も少しさびしかったが顔には出さずに、振りかえって手を振る。

こうして俺は日本を離れた、最初の目的地は中国だ。


何も生きがいがなかったこの生活。そんな生活が今動き出した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法の世界で、旅をする。 @toiton

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ