あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございました。
途中悲惨なシーンもあり、しんどかったり不快になる場合もあったかと思いますが、作者としては書きたいものを書けて満足です。
この作品で表現したかったのは、醜形恐怖症という病、外見至上主義の世の中、女性に多くを求める社会、その中で生きづらさや苦悩を覚える女性などです。
この話を書こうと思ったのは、やはり自分が主人公のミチエと同じことに悩んでいたからです。
こんな話を書くのはちょっと恥ずかしいのですが。。
私は若いころ、コミュニティの中で外見で差別されたり、すれ違った人に突然ブスと言われたりしたことがあって、トラウマになっていました。
大人になってから小顔矯正店に通ったり、目の整形をしてみたり、ジムに行ってやせてみたり、きれいになりたくて色々やってみてました。
でも、どんなに努力しても、自分が美しくなったとは思えず、トラウマは残ったままでした。
本気で自殺を考えていた時期もありました(まあそのことについては、外見以外の要因もありましたが)。
そんな本当にどうしようもない時期に、このお話を思いつきました。
書くにあたっては、町沢静夫さんの醜形恐怖という書籍を参考にしました。
著者の方は精神科のお医者さんで、本の中では外見のことで悩むさまざまな患者さんの事例が紹介されています。醜形恐怖症という病名がつくそうです。
読んでみると、まさに自分が陥っていた心理状態そのものの症状を、多くの患者さんがわずらっていました。
記載された悩みは顔以外にも、体型のことだったり、毛深いことだったり、おならの臭いが気になってしまうなど、多種多様でした。中には自殺してしまった人など、胸の痛む事例も紹介されていました。
外見の悩みは、周囲の人からはどうしても軽くみられがちですが、本人にとっては自殺にまで繋がりかねない深刻な問題です。読後、ぜひ社会にも重く受け止めてほしいと思いました。
この本の中で、個人的にいくつか面白い記述があったので、4つほど紹介します。
1、外見に対する本人の主観的と、客観的評価が違う
例えば顔のことに悩んでいる患者さんが、実は平均以上の顔だった、とか、毛深いことに悩んでいる人が、実はそんなに毛深くなかった、とか。そんな事例が多かったです。
そして、そういう患者さんたちは、客観的意見を絶対に受け入れません。「あなたは美人だよ」とか、「そんなに毛深くないよ」と言っても、それは違うと思い込みます。
言うなれば、患者さんの見る鏡は、患者さんたちの主観の中で歪められてしまいます。
2、そのような患者さんの根底には、家庭環境などが影響した愛情飢餓、人付き合いが苦手、人間関係がうまくいかなかないなど、外見以外の問題がある
人付き合いが苦手などの劣等感を、外見のせいだと思うことで、少しでもコンプレックスを減らそうとする人間の心理があるそうです。
また、すべての人に好かれなくてはならないといったような、完璧主義的な傾向もあるそうです。
私の場合も、結局根本的な原因はそれだったのではないかと、振り返れば思います。愛情不足を抱えていたり、人付き合いも得意な方ではないので……。
3、外見至上主義は情報化社会により加速する
世の中が情報であふれているので、瞬時に良い、悪いを判断するため、外見が重視されるというのです。
ですから、情報化社会においてこそ、作中のミチエ、カンナ、マサキなどによって表現した、外見の差別についても、生まれやすいわけです。
ちなみに、日本やアメリカなどの先進国で、美容ブームや、外見に悩む人が増えるそうです。飢えをなくし、医療も発達させ、治安を良くし、人権意識を高め、生活を豊かにしても、今度は別の深刻な悩みが浮上するとは、なんとも皮肉です。
4、外見の悩みを克服するには、環境を変える
住まいを変えたり、仕事に勤しんでみたり、海外に行ったりしてみると、段々と気にならなくなっていくそうです。
ただ、先述の通り、根底には愛情飢餓など他の原因があるようなので、悩んでいる方がいれば、まずは心療内科でカウンセリングを受けることをお勧めします。
最後にむすびとして、自分の考えを2つ書きます。
まず1つは、私は外見を磨くのはいいことだと思っています。
整形や小顔矯正も、やりたいと思う人がいるならぜひやってみてほしいです。
むしろ小顔矯正なんかは、実は多くの人に受けてほしいと思っています。本当に顔が小さくなりましたし、顔の歪みが改善され、顔のこりや肩こりも解消できます。
それから男女関係なく、ファッションやメイクにこだわってみるのもいいと思います。ちょっと手間をかけてきれいにするだけでも、自己肯定感があがりますよ!
外見をよくすると、気持ちよくなるのは確かです。気にしすぎてマイナスな気持ちになるのが問題なだけであって、プラスの気持ちが増えるなら、どんどんやってみた方がいいと思います。
もう1つ。
今はコロナで世界中大変ですが、外に出る時はみんなマスクをして、仕事はリモート、交流はオンラインになることが多くなりました。こんな世の中で重視されるのは、外見よりも文章力やコミュニケーション能力ですかね。
外見に対する社会の意識はもうすでに変わっていて、私の悩んでいたことはもう古いのかもしれません。
ブスと言われたあの日から Meg @MegMiki34
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