まず最初に、このお話のキーワードは「チェス」ないし「将棋」ではありますが、読み進めるほど、くるくる裏返る「オセロ」や、点が線となり境界や陣地を成す「囲碁」が脳裏を過りました。
「公としての第三者」、「企みの当事者」、そして「その調査に当たる人間」の3つの視点で語られる事件の盤面はそれこそ、きっと……ええ、ええ、これについてはここでお口にチャックをしておきましょう。
そして、その3つの視点に、さらに+αとも言えるマリウラさん視点のお話があることによって、その企みがなければ生まれなかっただろう光が見えることで、読後感が実に悲しく、寂しくも爽やかに思います。
何はともあれ、現(2022/04/02)時点の作者様曰くの「本編」≒「公としての第三者視点」しか読まないのは勿体ない。実に勿体ない。うーん、勿体ない。
あ、恋愛に関しては割とドライな感じがほとんどなので、甘いものを望む方には物足りないように思います。口当たり的には辛口めのジンジャーエールだと思います、たぶん。
いやしかし、最後に一つだけ。
色気もいやらしさもまったくなくて、むしろどこか解剖学とか医学とかを彷彿とするような淡々とした感じだったんですが、それは余りに、ちょっと(規約とか)心配になるぐらいに、直截的過ぎますよ、お嬢!