第7話 【無能】は永遠に5963(ごくろうさん)。

 本当にどうなっているんだ!

 

<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>


 って、アナウンス、もう何回目だ??

 俺は、ステータスウインドウを見た。


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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 うん、もう完全に覚えた。俺の能力は5963ごくろうさんだ。

 どんなにネズミを殺しても、5963ごくろうさんだ。


 俺は、そんな5963ごくろうさんな作業をつづけまくった。

 次々と襲ってくるネズミを、殺して殺して殺しまくった。


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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 いい加減にしてくれ!!

 よくみると、さっきからネズミは俺のところばっかり襲いかかってきている。


 窓際にいる不知火しらぬいをわざわざ大回りにさけて、俺めがけて襲いかかってくる。


 どういうこと??


 不知火しらぬいのヤツは、なんだかさっきからずっとしかめっ面して、グラウンドにできた真っ黒い深淵を見つめている。

 手伝ってくれる気なんて1ミクロンもないらしい。


 俺はもううんざりして、その場にへたり込んだ。

 疲れたからではない、からだ。


 この怒涛の如く襲いかかってくるネズミの、単純極まりない攻撃に飽き飽きしたからだ。

 俺は床の上にあぐらをかいて、まるでハエをおいはらうように手を左右にヒラヒラとふる。


 グシャ! ベシャ! ドグじゃ!!


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 真っ黒のネズミは、俺のヒラヒラとふるビンタ攻撃を食らって、教室の端までふっとんでいく。


 がしゅ! ぎゃぶそ! ぐちゃちゃ! げちょげちょ! ごべちゃぁぁあ!

 ザシュ! ジャシュ! ズギャアア! ゼシュシュュ! ゾリゾリゾリィ! 


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 これじゃあ、RPGのスライムとか、ゴブリンとかと一緒だ。やられるために存在するモンスターと一緒だ。

 ボタンを連打して、やられていくザコとおんなじだ。


 唯一ちがうのが、RPGのモンスターとちがって、俺に何の恩恵も与えてくれないってことくらいだ。

 しかも、毎回コマンド入力をしないといけない。手をつかって1匹ずつ倒さなければいけない。雑魚戦には、オートバトル機能くらい入れて欲しい。


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 そして、あれほどわんさかといたネズミはいつのまにか最後の一匹になっていた。


 チュー!


 最後のネズミも、バカのひとつ覚えに俺の首元めがけて襲いかかってくる。


 最後くらい、真面目に倒すか。

 俺は立ち上がると、その最後の一匹の尻尾をつかんで、思いっきりグラウンドめがけて投げ飛ばしてやった。


 ネズミは、面白いくらい吹っ飛んで、出てきた深淵の真円に「ぽちゃん」とおっこちた。


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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 教室には、俺と、グラウンドの深淵の真円を見て何やら考えごとをしている不知火しらぬいと、大量のネズミの死体が転がっていた。

 そして俺はレベル1のままだった。


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