第6話 レベル1ですが何か?

<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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 え? どういうこと???

 何一つ、ステータスがかわってないじゃん!

 てか、なんだよ! レベルアップしたのに「レベル1→1」って!


田無たなしもレベルアップしましたか! よかったですね」


「よくねーよ! レベルアップしたのにレベル1のまんまなんだけど??

 ステータス、1ミクロンも変わんないんですけど??」


「なるほど、実に興味深いですね!!」


「やかましい!!」


 チュー! チュー! 


 俺は、やけにのん気な不知火しらぬいにイラッとしながらも、襲ってきたネズミ2匹のしっぽを両手でいっぽんづつつかむと、思いっきり窓のサッシに叩きつけた。


 びちゃ! ゴチャ!



 2匹のネズミは、サッシにぶつかると、はらわたをぶちまけた。

 そこから、かみのけやら、目ん玉やら、指がころがり落ちた。


 うん。この倒し方はまずい……精神衛生上まずい。SAN値がさがる。

 (ステータスにはなかったけど)


<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>


 よしきた、今度こそなんか変化あるだろ。


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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「ないんかい!!」


 俺は、俺の斜め前に表示されたステータスウインドウにするどい突っ込みをいれた。


 ステータスウインドウは「ぽよん!」とおまぬけな効果音をならして、人をダメにするクッションみたいな肌触りで俺のチョップをうけながした。


 むかつく!! このステータスウインドウ、絶対俺をバカにしている!!


 チュー! チュー! チュー! 


 今度は、ネズミが3匹襲ってきた。俺はステータスウインドウにおちょくられた腹いせに、ネズミどもに突っ込みという名のチョップをおみまいした。


 バシィ! ボキィ! ズバシイ!!


 俺を襲ってきたネズミどもは、俺の突っ込みチョップにあっけなく力尽きた。

 うん。ネズミ、思ったよりも強くない、てか楽勝じゃね?


<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>


 よしきた、今度こそ、ステータスアップ来い!!


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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 ないんかい!!


 怒りがピークに達した俺は、教室にいたネズミを肩っぱしから突っ込みチョップで叩き伏せた。


<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>

<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>

<<田無たなし能己よしきレベルアップ!>>


でも……


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 田無たなし能己よしき

 レベル1→1

 知力 5→5

 体力 9→9

 統率 6→6

 魅力 3→3

 ユニークスキル【無能サーフェス

 ★★★★★★★☆☆☆

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 俺はいつまでたってもレベル1で、ステータスもいつまでたっても微動だにしなかった。

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