第8話 全滅した黒ネズミと無傷の赤ネズミ。
「とりあえず……黒いネズミは全員退治できたみたいですね」
ゲームかなんかだと、戦闘終了のファンファーレが流れるようなモーションだ。
「おい
俺は気取ってメガネをふく塩顔系イケメンにピシャリと言い放った。
すると塩顔系イケメンはメガネをかけなおして、気取った手つきで真っ白いハンカチを折り畳みながら反論した。
「そんなことないですよ。エネルギー温存のためです。戦略的かつ合理的な行動です」
「なんだよ、その屁理屈! ラクしたかっただけだろ!!」
「ちがいますって! 僕の【
そう言うと
本当だ!
「ちなみに今のところ熱戦は右手の「人差し指」「中指」「薬指」から発射できます。あと、こんな芸当も……」
熱戦は窓を越えてグラウンドに向かった……と思ったら、鋭角に曲がって黒板に激突した。
「第二関節まで消費すれば、熱線を射出後に一度だけ方向を変えることができます。
これ、ネズミをまとめて焼き殺すのにめちゃくちゃ便利でした」
その右手には、人差し指の第一関節に加えて、中指の第二関節までがなくなっていた。
俺は、
質問は2個あったから、最初の1個を質問した。
「その指、治るんだよな……」
「もちろん。〝カロリー〟を消費すれば回復します。ほらこのとおり」
「ワン・ツー・スリー!」
と掛け声とともに優雅に右手を差し出した。その右手は、完全に元通りになっていた。
「なんだか、マジックみたいだな」
「種も仕掛けもありませんよ。ただ、回復の過程がいささかグロテスクなので、お見せしない方がいいかな……と」
「お気遣いどうもありがとうございます」
なるほどね。1つ目の質問に対する回答を完全に理解した俺は2つ目の質問をした。
「
「はい」
「だったら! なんで! 今! ここで!
無駄打ちをした!? しかも2回もだ!!」
「失礼な! 無駄じゃないですよ!! とても重要なことです。僕の今の能力を君に説明したんです。君に、仲間である僕の能力を正確に把握してもらうためです!!
なにせこの後ボス戦が控えているんですから」
「ボス戦?」
「はい。しかも2体いるようです」
俺の質問に、
俺は、目をよーっくこらして真円の深淵に注目した。赤い点がウロウロしている?
いや、ネズミだ! 真円の深淵に、真っ赤なネズミが2体いる!
「どうやらあの2匹の赤ネズミが、黒いネズミを操っていたようです。
多分ですが……僕たちはふたりであの赤ネズミを倒さなければなりません」
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