不屈騎士と待ち合わせ
アンナ王女の専属騎士になってから数日。
私は王族の専属騎士になった事で確かな変化を感じていた。
騎士の仕事の内容に変化は無く街の見回りや魔物の討伐などが基本業務だった。
だが以前なら周りの騎士どもが嫌がらせや手柄の横取り、ミスを押し付けられるせいで始末書や減俸、説教を受けて心身共に疲弊する毎日だった。
だが流石に王族の専属騎士になった私に喧嘩を売るような気合の入った騎士はいない。
その為妨害や嫌がらせが無く伸び伸びと仕事が出来ていた。
いや〜やっぱり嫌がらせがないとストレスが溜まらなくて最高だわ。
これだけでアンナ王女の専属騎士になって良かったと思えるわ。
そうして晴れ晴れとした気分で働く事数日、私は以前行ったバー、タハーザに深夜向かっていた。
私がタハーザに着くと既にアンナ王女が軒先で私を待っていた。
一応王族であるアンナ様をを待たせたくないから少し早めに着くようにしたんだけど、もうアンナ様がいるのか。
普通貴族が平民と約束する時は時間なんて平気で越してくるものだけど流石だな。
...前に此処に来た時にも思ったけど、汚い店だなぁ。
「すいません、お待たせしました」
「いんや私もいま来たとこだよ.....何かデートの待ち合わせみたいだね。まぁ集合場所がこんな汚いバーじゃ風情もへったくれもないけどね」
「そうですね、こんな汚いバーをデートで行くとなったらもう不機嫌待ったなしですよ」
「ごめんごめん。でも私これでも王族だからさ、外で下手に店に入れないんだよ。騒ぎになるし、誰が聞いてか分からないから落ち落ち内密な話も出来やしない。その点この店はお客は私ぐらいしか来ないし、店主はボケてるから私の話なんて10秒もすれば忘れるから密談し放題!まぁ....ボケてるから注文がまともに通らないのと店内が汚いという重大な欠点があるけど此処より機密性が高い場所は中々ないんだよ」
「はぁ〜分かりました、暫くは此処で我慢しますよ。でも出来るだけ早く他の場所を用意して下さいね」
「分かってるよ、出来るだけ早くなんとかするよ」
「そうですか....ああ、そういえばサラは今いるんですか?」
「ああ、直ぐ近くで能力で姿を消しながら何かあった時に直ぐ私を守れるように準備してくれてるよ。今は私もそこそこ強いしリーシアがいるから介護は大丈夫って言ったんだけどね。サラは結構私に過保護なんだあいてっ!」
アンナ王女が話している途中で軽く小石が頭にぶつかった。
小石を投げたのは恐らくサラだろう。
タイミングから察するに余計な事を言うなとアンナ王女に警告したんだろう。
というかバチバチに戦った私が言えた事じゃないがよく王族の頭に石なんか投げられるな。
かなり仲良さそうだったしサラとアンナ王女の関係が少し気になるな....今度聞いてみようかな。
「お〜いてて...サラめ石投げてきやがって。たんこぶ出来たらどうすんだよ」
「大丈夫ですか?」
「ああ平気平気、ちゃんと加減もされてるし。それにこれくらい傷サラによく負わされてるし」
「ええ...貴方達一体どんな関係性なんですか?」
「...まぁその内話す事があるかもね」
私が関係性を聞いてもはぐらかされてしまった。
軽い調子だが今は話す気がなさそうだ。
私は口下手だしこれ以上粘っても聞き出す事は出来ないだろう。
アンナ様から話してもらうのを待つしかなさそうだし気長に待つとするか、待つのは嫌いじゃない。
「さてこんな所で駄弁っていても仕方ないし、そろそろ店に入りましょうよ」
「ああ待って待って、実は私達以外にも声を掛けた人達がいるんだよ。そいつらと一緒に店に入りたいからもう少し待ってくれる?」
「別にいいですけど後どれぐらいでそいつらは来るんですか?」
「約束の時間は私達と一緒だからもうそろそろ来る筈だよ」
「そうですかそれで誰が来るんですか?」
「ああそれはっ!!」
私とアンナ様が話している所にいきなり大きい炎が飛んできた。
私達はなんとかギリギリ避ける事が出来たが、もし当たっていたらただじゃ済まなかっただろう。
一体誰がこんな真似を!
私は炎が飛んできた方向に視線を向けた。
「久しぶりやなぁお二人さん。こんなに早く借りを返せるなんてウチもまだまだ捨てたもんやないなぁ」
以前死闘を繰り広げたタマモが全身に炎を纏い不敵な笑みを浮かべながら私達の方に向かってきた。
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お知らせ
最近仕リアルが忙しくて更新ペースが少し遅れていますが、何とか毎日更新出来るよう頑張ります。
そしてもう一つ新しい作品を準備しているので、そちらも読んでくれたらとても嬉しいです!
内容はふんわりとしか決まってないので、内容が決まり次第あらすじをここら辺に書いて行くのでこうご期待!
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