博打狂い狐と新たな仕事
「これはあまりにも危険だから任せれる奴が殆どいない仕事だ。けど断るにはあまりにも報酬がおいしいから諦めるには惜しい。だから直接私がやろうかとも思ったんだが...この仕事は時間が掛かる。だから他にやるべき仕事が山積みだからどうしようかと頭を悩ませていたんだ。けどタマモなら実力は申し分ないし、数日いなくても会社には影響ないからこの仕事は貴方にうってつけだ」
「影響ないなんて酷いわ〜、ウチという会社の顔がいなくなったら会社の皆の士気がダダ下がりやろ〜」
「「......はんっ」」
「おい手前ら何鼻で笑っとんねん、やんのかああんっ!」
ウチがユウとセクリトの二人に凄んだが付き合いの長い二人に軽く流されてしもうた。
セクリトは手に持っている書類をひらひら揺らしながら私に尋ねてきた。
「それでどうする?この危険な仕事をこなして一回で終わらすか。それとも2ヶ月死ぬ気で働くか...まぁ私としては後者をお勧めする。これは本当に危ないから、まだ2ヶ月働く方がマシだと思うぞ」
「何言うとんねん、ウチならどんな敵が来たとしてもちょちょいのちょいや!どんな仕事でもばっちこいや!」
「そんな大口叩いていいのか〜?今日負けたくせに。そんな大口を言っておいて失敗したらまた赤っ恥をかく羽目になるぞ〜」
「ユウうるさい!余計な口挟まんといてや!」
ウチが胸を張って自信満々に任せろと言ったら、側でウチらの話を聞いていたユウがニヤニヤ笑いながら茶々を入れてきた。
「負けた...?そういえばタマモ、あんた怪我してるみたいだがなんかあったのか?」
「いや別に気にしないでええ、それよりその仕事の詳細をさっさと教えてくれや」
セクリトはウチの怪我について知りたがったが、ウチが話す気がない事を悟ると手に持っていた書類をウチに投げ渡してきた。
「その書類には仕事を依頼してきた人物が指定した場所と時間が書いてある。仕事の詳細についてはその場所にきた人から聞いてくれ、私から説明するよりもその方が詳細を知れるだろ。ああ目を通したらその書類はいつも通り処分してくれ」
「おう了解や」
ウチらの会社は基本的に貸金業らしく金を貸すのが主な仕事だ。
だが設立当初はそれだけでは食っていけず、暗殺や護衛などウチやセクリトの腕っ節を利用した仕事を多々こなしていた。
会社が大きくなってきた今でも時々荒事の仕事を受けているのだ。
だがウチらに舞い込む仕事は基本的に、非合法な仕事が殆ど。
やから少しでも証拠を残さないように、仕事を確認したら直ぐに依頼書を処分することにしている。
ウチはセクリトから渡された書類に目を通し始めた。
指定場所は....スラム街近くの4区にあるバー、タハーザ。
そこに1週間の深夜0時に来いか....了解。
ウチは目を通し終えた書類に手から出した炎を当てて炭にした。
これで証拠隠滅は完璧やな。
痛っ、リーシアに切られた傷が痛むわ。
セクリトがあれだけ危険と言っとるんや、この痛んだ体じゃ深くを取るかもしれん。
さっさと家に帰って傷を癒した方がええ。
「じゃあウチは今日は帰るわ、セクリトお疲れ様。ユウ一緒に途中まで帰ろうや」
「おう、じゃあ一緒に行こうか」
「ああユウはちょっと待ってくれ、話したい事がある」
「ん?そうか。じゃあタマモお大事に」
「おうまた近いうちに会おうや」
そうしてウチは会社を出て、真っ直ぐ家路に着いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「さて、じゃあ俺に話ってなんだよ?」
タマモが出てから少し経ったあと、俺はセクリトに向いて用件を聞いた。
「ああ実はタマモに頼んだ仕事なんだが....貴方にも手伝って欲しいんだよ」
「ええ〜タマモなら一人で平気だろ。そんなに危険な仕事なのか?」
「いや多分大丈夫だとは思うけど...タマモってほら少し抜けてるところがあるじゃん?」
「ああ〜あるな」
タマモは腕っ節は立つ。
だけど今日の戦いでも分かるが相手を見くびり油断して痛い目を見たり、後先考えず有金全部を博打に突っ込み素寒貧になるなど様々な欠点がある。
それを長年俺やセクリトが補ってきた。
「今回の仕事は絶対に成功させたい、本当なら私が手伝いをしたかったんだが...さっきも言った通り忙しくてどうしても私は手伝いが出来ない。だから貴方に頼んでいるんだよ」
「俺に頼む理由は分かったけど俺も暇じゃないんだよなぁ〜。そろそろ俺もやらなきゃいけない事があるし...」
「勿論ちゃんとお礼はするよ、ええ....っとこのくらいでどうかな?」
セクリトは手元にある算盤を叩き俺に見せた。
「うおっ凄い額!こんな大金本当にいいのか?」
「ああこの仕事の報酬に比べれば大した事ないよ。それで....頼めるか」
「ああこんな額を提示されたら断れないよ。タマモのお守りは任せてくれよ」
「ああそれじゃあ貴方にもタマモと渡したのと同じのを渡して置くよ。ちゃんと処分はしておいてくれよ」
「ああそれじゃあな」
そうして俺はタマモの会社から出て家路に着いたのだった。
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