博打狂い狐 対 不屈騎士 6
ザシュッ!
「ぎゃあ!!」
リーシアが体勢を崩したタマモを斬りつけた。
今まではサラの妨害も勘で致命的な妨害は上手く避けていた。
だが疲れと出血のせいで次第に避けれなくなってきていた。
そしてついにサラの妨害をモロに受けて体勢を大きく崩した。
その瞬間をリーシアは見逃さず、タマモに致命的なダメージを与える事に成功した。
この機は逃さない!
相手は格上、この機を逃したらもうチャンスは来ないかもしれない!
私は止めを指すために倒れこんだタマモに向かって剣を振り下ろした。
ガキンッ!!!
「.....嘘でしょ」
私は目の前で起きた事が信じられずに呆然と呟いた。
私が振り下ろした剣をタマモが片手で受け止めた。
私の剣を片手で受け止めたのも驚いたが、なによりも驚きなのがタマモは剣の刃の面を鷲掴みにして私の剣を止めたのだ。
普通剣の刃の面を鷲掴みにしたら手がズタズタになり血塗れになる。
だがタマモは血を流すどころか、傷一つつかずに私の剣を掴んでいる。
その異様な光景に固まっていたが、直ぐに我に帰り剣を抜こうと力を入れた。
だが...
う、嘘だろびくともしない!
私がいくら力を入れても全く動かない。
引くだけではなく、押したり揺らしたり叩いたりなど様々な方法を試したが剣は微動だにしない。
タマモが物凄い握力で剣を握っているからだ。
腹を大きく切られて普通の人なら死んでもおかしく無い重症なのに...どこからこんな力が出てくるんだ?
「おい、はーはー痛っ!よくもやってくれたなぁ!!」
私がタマモの力に慄いているとタマモが痛みを堪えながら、私に声を掛けてきた。
「よくもウチの柔肌をここまで傷つけてくれはったなぁ!!もう絶対に許さん、ただで済むと思うなや!」
「はんっ!そこまでボロボロで何が出来るっていうんだ!それにこっちにはもう一人いるんだ。今だ、やっちゃえ!」
私が合図を出すと側に隠れていたサラが能力を解除して姿を見せタマモに駆け寄った。
そして懐に手を入れ短刀を取り出して、タマモに振り下ろした。
ガキンッ!
「.....!!!!」
タマモの肩に刺さった短刀はまるで金属同士がぶつかった時の様な甲高い音を立てた。
タマモは短刀が刺さったというのに傷がつかなかった。
自分が全力で刺したというのに傷がつかなかったことにサラも驚いた様で、顔を隠していても動揺が伝わってきた。
「無駄や!今のウチにはそんな鈍じゃ傷なんてつかへんわ!最初は少し痛めつけてやるぐらいで済ますつもりやったけどここまでのことをされたらもう手加減はせえへん!お前ら覚悟せえ!」
「「.....!!!!」」
ぞくっ!!
タマモから今までとは比べ物にならない圧力が全身から噴き出てきた。
私達は咄嗟に飛び退きタマモから距離を取った。
「さぁ、ここからが本番や!お前はもう手も足も出えへんからな!!」
タマモは掴んでいた私の剣を投げ捨てると全身に力を入れ始めた。
すると次第に今でも感じていた圧力が更に増し始めた。
おいおい...まだ全力じゃなかったの!?
そのあまりの圧力に怯えてしまい私の体は竦んでしまった。
もはやこれまでか....
さっきまでのタマモも間違いなく強者ではあったが、まだ勝機が少しはあった。
だが今のタマモにはどうやっても勝てるイメージが全く浮かんでこない...
いくらサラがいるとはいっても、こんな化け物相手にどうしろっていうんだよ....
このままでは私達はタマモになす術もなくやられてしまうだろう。
だがそこに予期せぬ救いの手が現れた。
「はいそこまで」
タマモと一緒にいたユウがいきなり現れタマモの手を掴んだ。
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