博打狂い狐 対 不屈騎士 5

ああ、くそっ!

身体中が痛い!

私リーシアは全身の痛みに顔を顰めていた。

タマモが炎魔法を得意としてるってアンナ様から聞いていたから事前に炎を軽減するバフをかけてもらっていたんだけど...

バフをかけてもらっておいてこれかよ!

全身がヒリヒリする。

もしバフをかけてもらってなかったら...間違いなく黒焦げだったな。

だがまぁ実際に受けてみてタマモの炎を受けても、軽い火傷で済む事が分かった。

この火傷も私が能力使えば直ぐに治るし。

タマモの炎対策も万全だ。

誤算だったのはサラの事がバレた事だな。

サラの能力でタマモに見てからずに私の手助けをしてくれていたんだが、まさか周囲一帯を炎で焼くだなんて芸当をするなんて...想像もしてなかった。

そのせいでサラが炎から身を守るために能力を切っちゃた。

サラの能力は強力だけど、能力を発動するために大量の魔力を割かなきゃいけない。

だから能力の使用と身体強化を同時に扱えないんだよな。

まぁ...いいや、タマモにもう一人、サラがいる事がバレたのは痛手だけどそれでも私の方が圧倒的に優位。

炎魔法が大したダメージじゃないからタマモが私を倒すための決め手が無い。

逆に私には魔剣に加えて、サラの手助けがある。

最初はタマモ相手に勝てるはずないと思っていたけどこれは...勝てちゃうかも。



ああもう、どうしたらええんや!?

ウチは襲いくるリーシアを捌きながら頭を悩ませていた。

ウチのとっておきの炎魔法を当ててやったのにピンピンしてる。

当たりどころが良かっただけかとも思うたが...

その後も何発も炎を当ててもケロリとしてやがるわ。

どうやらウチの炎を耐えとるのは偶然やない、なんか準備をしてきとるな。

更にもう一人いる黒づくめ、こいつが厄介や。

姿を見えなくなる能力を使っていてリーシアの手助けをしとる。

それをウチが看破したけど、そのせいで黒づくめが自分がある事を隠す必要が無くなってしもうた。

さっきまではバレるのを避けるために必要最低限の妨害しかしてこなかったけど、バレた今となっては積極的に行動してくるやろ。

リーシア単体ならまだどうにか出来たけど、黒づくめを同時に対処するのは流石にキツい。

さてどうしようへぶっ!


ウチが考えているといきなり側頭部に痛みが走った。

くそっ、あの黒づくめの仕業だな!


「ああもう、痛いな!!」


「あうっ!」


ウチは痛みが走った方向に向けて広範囲に炎を放った。

ウチの炎に当たり黒づくめが見えてきた。

よしっ!先にこっちを片付ける。

こいつがいなくなりリーシアだけならどうとでもなるわ。

ウチは黒づくめに駆け寄り襲いかかった。


「おらっ!さっさとくたばれや!」


ウチは黒づくめに対して殴りかかった。

ウチが出した拳を黒づくめは避け、そのまま手を掴み、拳の勢いを利用してウチを一本背負いで地面に叩きつけた。

ばんっ!


「あ痛っ!」


咄嗟に受け身は取れたけど、まんまと投げられてしもうた。

ウチは直ぐに立ち上がり、黒づくめを倒そうとした。

だがウチが立ち上がった時には既に黒づくめは姿を消していた。

くそっ、逃げられたか。


「おらぁぁ!!!」


ウチが黒づくめを探していると、リーシアがウチに向かって剣を振り下ろしてきた。

うおっ、危なっ!

ウチは振り下ろされた剣を避けた後、反撃に回る。

よし、くらいったぁぁ!!!

リーシアを殴ろうとしたウチの脇腹に激痛が走った。

ウチは痛みのあまりたまらずリーシアへの攻撃を中止し後ろに下がった。

あいたたた.....くそっ、黒づくめの奴め存在がバレたから積極的に攻め始めたな。

ウチがリーシアに攻撃しようとした瞬間を狙ってウチの脇腹に攻撃しやがった。

多分この感じからいって肋にヒビが入ってるな...。

リーシアに攻撃しようとしたら黒づくめに攻撃され、黒づくめに攻撃しようとしたらリーシアに邪魔される。

ヤバい、どうしようホントに打つ手がないわ。


はーはーはー、がふっ、げほっ、ぺっ!

ウチは口の中に溜まった血を吐き捨てた。

あれからウチはリーシアと黒づくめにいい様にやられていた。

リーシアに切りつけや、黒づくめの意図しないタイミングの攻撃など。

二人の攻撃を何度もその身に受けてウチの全身はもうボロボロ。

何とか致命傷は避けてはいるけれども、ウチはもう虫の息。

リーシアに対して何度かまともに攻撃を入れる事は出来るんやけどあいつは直ぐに回復する。

リーシアしぶとすぎるわ。

普段のウチなら回復する前に倒し切る事が出来るんやが、今日はいつもの装備やないから攻撃力が足りへん。

このままだと負けるのは時間の問題や。

一応この状況を打破する手がないわけではないんやが....出来れば使いたくないんだよなぁ〜。

さてどないしようか.....

















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る