博打狂い狐 対 不屈騎士 4
「はぁぁぁ!!!!」
「痛っ!」
リーシアの切り払いを上手く避けれんくて、少し掠った。
くそっ、やっぱりさっきの攻撃で負った傷のせいで体力が落ちとる...
だが!
「あんまり調子に乗んなや!」
いくら体力が落ちとるといってもまだまだウチの方が強い。
もう遊んでいる余裕はない、直ぐに決めてやるわ!
「おら、くらうおっ!?」
ウチがリーシアに殴ろうとしたらまた先程のように足が何かに引っかかって転びそうになった。
ウチがなんとか転ばない様にたたらを踏んでいる所にリーシアが剣を振り下ろした。
流石にこれを食らうのは不味い!
ウチは咄嗟に体を捻ってなんとか攻撃を避けた。
...今のは危なかったわ。
もう少しリーシアの攻撃が早かったらもろに当たってた。
そうなったらいくらウチでも死にはしないやろうが、もう戦闘継続は不可能やろう。
久々に冷や汗が出たわ...
くそっ、最初は軽く揉んでやるつもりやったがここまで追い詰められるとは想定外やったわ...
リーシア単体ならそこまで苦労はせんけど、さっきから時々来る妨害が厄介や。
本当に前兆もなくいきなり来るから全く避けれん。
そんで妨害のせいで体勢を崩したらその瞬間をリーシアに狙われるから迂闊に攻めに回る事も出来ひん。
は〜仕方ない。
あんまり街中では派手な事はしたくなかったけど選り好みしとる場合やないな。
このままじゃジリ貧やし、ウチも腹の傷が痛むから早く帰りたいわ。
ふーー
ウチはリーシアから距離を取ると深呼吸をしてから集中して魔力を練り始める。
ウチが魔力を出しているのに気付いたリーシアが焦ってウチに近づいてきた。
だが遅いリーシアがウチのとこにたどり着くよりもウチが魔力を練り終わる方が断然早いわ。
ウチは魔力を練り終えて、手をリーシアの方へ向けた。
「もう手加減はせえへん、黒焦げになれや!」
ウチが魔法を放とうとした瞬間、ウチの手に痛みが走ったと思ったらリーシアの方に向けていた手が勝手に変な方向に向いてしもうた。
このまま魔法を放ったら魔法が変な方向に向かってしもうてリーシアに当たらん。
だけどこうなるのは予想しとったわ!
ウチは妨害にもかまわず魔法を放った。
するとウチの全身から炎が吹き出し、辺り一面に炎が満ちリーシアは炎に包まれた。
よしっ!上手くいった!
ウチの勝ちや!
さっきみたいにリーシアだけを狙って魔法を放つ事も考えたけど...多分またさっきみたいに妨害されてまうやろ。
そしたらウチの魔法が寄れてリーシアに当たらん。
そんなの魔力の無駄遣いや。
やから今度は点やのうて面で狙う事にした。
これなら例え妨害されたとしても関係ない。
範囲攻撃なら多少狙いが逸れても問題なく攻撃が当たると予想したったが、ドンピシャやったな。
本当はあんまりこの魔法は街中では使いたくなかったわ。
建物に燃え広がったら消化するのに骨が折れる上に、面で魔法を発動するのは点で発動する魔法よりも消費魔力が大きいからな。
けどこのままじゃ負けちまうからな、仕方ないわ。
流石にウチの魔法をモロにくらったんや、いくら何でもこれで終いやろ。
運がええ事に建物にはウチの炎が当たらんかったし。
いやあ〜良かった。
にしても....
「まさかウチらの他にもう一人いたとはな、驚いたわ」
「........」
ウチの近くに全身を黒尽くめに包んだ人物がいた。
体の所々が焦げておるからこいつもウチの炎を浴びたんやろ。
「アンタ、ウチの炎を浴びてよく無事やったな」
「能力を切って身体強化に魔力を回してなかったら私もタダでは済まなかった」
「なるへそ、やっぱりアンタがさっきからウチの周りでチョロチョロと邪魔してくれた人やったんやな。能力は姿を見えなくするみたいなもんやろ、この近距離でウチが全く察知出来ないんやからアンタの能力は相当強力やな。それに咄嗟に能力を切って身体強化に魔力を回す判断力、ウチの炎を浴びて少し体が焦げる程度で済む体の強さ。アンタ相当強いな」
「そりゃどうも」
「にしてもアンナ王女も食えない人やな。リーシアと戦えと言っておきながらアンタを助っ人に準備しといたんやから」
「どうせアンナは『リーシアと戦えとは言ってはいたけど、一人でとは言ってない。』そんな感じの苦しいいい訳をするんだよ。全くあいつは子供っぽいんだから」
「けけけ!いいじゃん私はそんな風に諦めが悪いのは結構好きやで。さて、このまま話をするのもええんやが、ウチも浅くない怪我をしとる身なんでな。これで終わりでええか、それともアンタ一人でウチとまだやるか?」
「は〜アンタみたいな化け物相手に私一人で勝てるわけないじゃん。さっさと帰れば」
「そうかじゃあ私はこれで失礼しよ「待てっ!」」
炎の中から声が聞こえた。
まさか...!!
ウチが慌てて声のした方を向くと、燃え盛る炎の中からリーシアが現れた。
おいおい嘘やろ....
ウチの炎が直撃したんやぞ。
死んでもおかしくない威力やぞ...何でリーシアは生きとるんや?
リーシアはウチの炎に耐えられるほど強くはない筈なんやが...一体どんな手を使ったんや?
ウチが首を捻っていると、炎の中からリーシアが出てきた。
「死ぬかと思った...」
「普通なら死んどるよ、一体どんな手を使ったんや?」
「敵にわざわざ手の内を晒すと思う?」
「それもそうやけど、一応聞いてみただけや」
「さて、じゃあ続きと行こうか!」
リーシアがそういうと、側に居たはずの黒尽くめの姿も気付いたら見当たらん。
どうやらもう能力使っとるみたいやな。
さて、これからどうしよう....頼みの綱の炎も効かんかったし。
打つ手がなくなってしもうた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます