博打狂い狐 対 不屈騎士

「おらぁぁ!!!!くたばれぇぇぇ!!!」


リーシアはウチに向かって拳を放ってきた。

さてさてリーシアの力はどんなもんかな?

少し試したみようか。

ウチはリーシアの拳を真っ向から受け止めた。

ぱしっ!

ウチは真っ向からリーシアの小節を受け止めた。

ウチが軽々と拳を受け止めたもんでリーシアは少し動揺したが、直ぐに持ち直しリーシアはウチに受け止められた方とは逆側の拳を顔面に放ってきた。

まぁ避けるのは難しくないけど確認したい事もあるし、これは食らっとこうかな。

ウチはリーシアの拳を敢えて避けずに食らう事にした。

ガンッ!


「...........!!嘘だろ...」


「まぁ、こんなもんか」


リーシアの拳がウチの顔に入ったが、吹き飛ぶどころか傷一つつかなかった。

その様子を見て自身の渾身の一撃が通じずリーシアは顔を青ざめた。


「人間種にしては中々鍛えとるみたいやけど、まだまだやな。ウチは亜人でしかも高位階者。人間種と比べると身体能力には隔絶した差があるんやで。ウチは獣人の中では力に自信がある方では無いけど、それでも獣人は獣人。能力無しの人間種には絶対に負けへんで」


「くそっ!」


ウチの言葉聞いたリーシアは悔しそうに顔を顰めた。


この世界は種族によって特性がある。

例えばエルフだと魔法に長け、ドワーフは魔力の篭った武具や防具などを作成出来るなど種族によって出来る事が異なる。

そしてそれらの種族特性は一部の例外はあるが位階が4を超えて始めて発現する様になる。

だから位階が4を超えた者は一人前とされているのだ。

そしてタマモを始めとする獣人の種族特性はベースとなる獣の能力と高い身体能力だ。

鳥型の獣人なら飛行能力、馬型の獣人なら早足とスタミナなど様々な能力を持つ獣人がいる。

このまま白兵戦で戦ったら確実にタマモが勝つ。


「ほれさっさと能力使いい。じゃないと勝負にならんやろ!」


「...がはっ!!!」


ウチは掴んどった手を離してリーシアの土手っ腹に蹴りを叩き込んだ。

リーシアはウチに蹴られた腹を押さえて蹲った。

このまま追撃すれば勝負は終いや。

やけどいくら何でもこれで終わりはつまらんわ。

ウチは追撃をせずにリーシアが立ち上がるのを待ち事にした。


「ほらさっさと立ちい。ちぃーとこづいただけやで?もっと気張りやこれで終わりじゃ不完全燃焼もええとこや」


「がはっ!げほっ!くそっ舐めやがって!!」


「そりゃあ舐めるのも無理ないやろ、能力も使わん人間種にウチが負ける訳ないやん。今の状態のアンタならウチ片手で戦っても余裕や。ほら痛い目みたくないなら勿体ぶらずにさっさと使いい。そうすれば少しはマシになるやろ」



この世界で一番多く存在し繁栄する人間種。

その種族特性は個々人により異なった能力の発芽だ。

そもそも人間種は亜人と比べて別段強いわけではない。

身体能力は亜人に劣るし、魔力はエルフに劣る。

そんな人間種が他の種族よりも優れていたのが二つある。

それは多様性と数だ。

人間種は位階が4を超えると自身の環境や血筋、願望などの様々な要因により個人毎に異なった能力を得る。

そしてその多様な能力と数の暴力で人間種は魔物や魔族、そして他の種族を圧倒し繁栄してきた。


ウチの言葉を聞いて悔しそうにしていたリーシアやったが、ウチの言う事が正しいと思ったらしい。

距離をとって深呼吸をして怒りを落ち着けた。


「ふーそうだな。身体能力に優れている獣人相手に素で戦うなんで無茶だった。此処からは私の能力やその他諸々、私の全身全霊を使ってお前を倒す!」


「お〜それぐらいしてくれんとウチの遊び相手にもならん。精々気張りや〜」


「ちっ、舐めやがって!直ぐに後悔させてやる!!」


リーシアは腰にかけていた鞘から剣を引き抜いた。

その瞬間、リーシアの雰囲気が変わった。

今までよりも数段圧が増したように感じる。

昨日リーシアの戦闘を見たから能力の予想は大体ついとる。

体の傷を癒す系統の筈や、強さが上がるみたいな能力では無かったと思うんやが....

あの剣に何か仕掛けがあるのかもしれへんな。

まぁどっちでもええ。

これで少しは歯ごたえが出てきて楽しめそうや!


「ここからが本番だ!覚悟しろよこの女狐!」


そうしたリーシアはウチに向かって切り掛かった。

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