不屈騎士の能力
「そうだね、君が私に聞きたい事は色々あるだろうしサクサクと答えていこう。それじゃあまず何から聞きたい?」
「まずは私の能力の事をどうやって知ったんですか?私は公には能力を自動回復で通しているからバレる筈がないんですけど」
「ああそれは簡単だよ。(パチン!)ちょっと!来てくれる」
私は指を鳴らして、ある人物を呼んだ。
すると今まで私達と店主しかいなかったはずの店内に別の気配がする様になった。
気配がする方に振り返ると一人の人物が佇んでいた。
その人物は全身を黒尽くめの衣装に身を包み、フードを被り顔を隠している。
少し大きめの衣装を着ているため体格も分からず性別も不詳。
そんな性別、年齢、人種全ての情報が謎の人物が呆れたような溜息を吐いた。
「はぁ〜...なぁアンナ、カッコつけて指なんか鳴らすなよ出てくるのが恥ずかしくなるだろ...」
「ええ〜指鳴らして部下を呼ぶのかっこいいじゃん!前々からやってみたかったんだよ!」
「はぁ〜次指鳴らしても無視するからな」
その黒装束は呆れながら私達の席に近づいてきた。
「そんで私に何の用ですか?」
「君の事を紹介しようと思ってね。リーシア、こいつは私の右腕のサラだ。主に諜報と護衛の仕事をしてくれている頼りになる奴だ。こいつに君の事を色々と探ってもらってたんだよ」
リーシアは近くにきたサラをジロジロと見つめた。
「はぁ、こいつが私の事を探っていたんですか。けど少し探ったぐらいじゃ能力の事なんて知れる筈は無いんですがどうやって私の能力の事知ったんだ?」
「簡単だよ、こういう風にやったんだよ」
「!!!」
次の瞬間、目の前からサラが忽然と消えた。
ついさっきまで直ぐそばにいたのに今や影も形もない。
リーシアも高い位階の持ち主。
相手が早く移動しただけなら目で追えなくても、何処に行ったのかはある程度の予想は出来る。
それに高位階者は五感が鋭いため、姿を消しているだけなら相手の位置を察する事も出来る。
それなのにリーシアはサラの事を全く知覚する事が出来ない。
リーシアはサラが急に消えて戸惑い、焦って周りを見回した。
「え、ええ!!あいつ何処いった!?目なんて離してないのに急に消えたぞ!!あれぇ!?」
「ふふ、いくら探しても無駄だよ。あの黒装束の能力は存在感をなくす事が出来る。あいつがその気になれば例え人混みの中で全裸になっても周りから認識されない。この能力を使えばいつでも好きな場所に好きなだけ潜入が出来る。つまり機密情報漁り放題ってわけ」
「....成程ね。私の能力を知ったのはこの前の会話を盗み聞きしたからだろう。一応盗み聞き対策はしていたけど、こんな強力な能力を使われちゃあ意味ないな」
「そう、この前の密談もこうやって真横で聞いてたよ」
「うわっ!?」
黒装束はリーシアの真横に座っていた。
「ええ!!いつからそこにいたんだ!?」
「ん?気配を消してからずっとここにいたよ。まぁ相当の高位階じゃないと私の能力は破れないから気付かないのも無理はないよ」
こんなに近くにいるのに全く気付かない。
サラの強力な能力を実際に目の当たりにしてリーシアは感心した。
「はぁ〜随分と便利な能力だな、羨ましいよ」
「いやいや、確かに私の能力は強力だ。けどリーシア貴方の能力も負けてないでしょう。だって貴方の能力は体力、スタミナを回復出来るだけじゃなく長期間飲まず食わずで行動する事も出来る。かなり強力な能力だ」
「....まぁそこだけ聞いていたら確かに強力な能力だ。けどあの時の会話ん聞いていたなら知っているでしょ。私の回復能力などは無制限に使えるわけじゃない、しっかりとした準備が必要で少し使い勝手が悪いんですよ」
リーシアは溜息を混じりに自分の能力を評価した。
サラからの報告で得た情報では、リーシアの能力は色々な事を溜める事が出来る。
例えば寝溜め。
寝溜めは長時間眠る事でその寝た分の時間、好きなタイミングで体を寝た事にする事が出来る。
例えば丸一日、24時間眠ったとする。
そうするとリーシアは24時間分睡眠を溜める事になる。
大体リーシアは4時間眠れば完全回復出来るので、つまり6日間寝ずに行動する事が可能になるという事だ。
こういう風にリーシアは寝溜め、食い溜めする事で不眠不休で働けたり。
回復力を溜めておき、一気に使い傷を癒すなどリーシアの能力は様々な使い方が出来る。
他にも攻めに使う溜めも幾つがある。
だが連日の激務に加えて、最近大きい戦いがありそこで大量の溜めを使ってしまっていて、リーシアが保有している溜めは殆ど無くなってしまっている。
もしリーシアが溜めを完全な状態で揃えていたら、私は多分負けていただろう。
まぁサラに事前に入念に下調べをさせて今日溜めが少ない事は知ってたんだけど。
「さて、君の能力を知った経緯はこれくらいでいいでしょ。後はこれからどうやって王国を治していくかその具体的な作戦についた話していこう....と思ってたけど、料理が来た。続きは食べ終わってからにしよう」
料理を作り終え、厨房から店主が料理を抱えてやってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます