戦いの傍観者達 2
「さて俺はそろそろ帰るけど、タマモはどうする?」
タマモに慰められて落ち着いた後、俺はタマモにこれからの予定を聞いた。
「ん〜せやなぁ。折角軍資金が手に入った事やし少し遊んでいこうかな」
タマモは懐からアンナ王女から貰った袋を取り出して弄びながらこれからの予定を話した。
タマモが遊ぶといったら一つしかない。
このバカはこれから博打に行くつもりだ。
俺は呆れて、ため息を吐いてタマモに忠告した。
「は〜お前博打に行くのはやめとけよ。その金は先物取引の失敗で失った金を補填するために使うんだろ」
「分かっとるって、ただもらった金がかなり多くて、必要な金よりも多かったんよ。やから浮いてる金で遊ぶだけやで」
「それならまぁいいけど。ただお前は負けると熱くなるからな、くれぐれも必要な分のお金は必ず取っておけよ。もし全部使い切って金を補填出来なかったらお前のとこの副社長に殺されるぞ」
「あ〜それはヤバいな」
俺の忠告を聞いた顔を青くした。
タマモは先物取引を失敗して大損をしているが、実はその事は彼女の部下にはバレていない。
タマモの右腕は金の管理に物凄く厳しく、タマモが無駄遣いを少しでもしようものなら小言を零す人だ。
そんな金に五月蝿い副官に先物取引の失敗による大損がバレたらタマモは副官に激怒される。
タマモは副官に怒られるのが怖かったから、なんとか損失の穴を埋めようとここ最近は奔走していた。
それが今日王女からポンと金を受け取ってその問題が解決したのに、もし博打で金を全部失ったらまた金を稼ぐために奔走しなおさなければならなくなる。
この日まで俺はタマモの金稼ぎに付き合ってきた。
高く売れる魔物や薬の素材の確保や賞金首を狩ったりなど様々な金稼ぎに付き合ってきた。
だがタマモが先物取引で失った金額は莫大で、それを稼ぐのに俺とタマモはかなり苦労してきた。
もうタマモの金稼ぎに付き合うのはまっぴらだ。
だからくれぐれも金を使いすぎないようにしっかりとぶっとい釘を刺しておく。
....本当は博打に生かせなければいいんだが、このアホとも長い付き合いだ。
俺が口でいくら注意しても博打に行くのをやめないのは分かっているからな。
だから行くなとは言わずにお金を使いすぎないようにと注意しとく。
「あ〜せやな。ウチの副社長は怖いからな、くれぐれも使いすぎないように気をつけるよ」
「それでもやっぱり行くのか」
「当たり前やん、ウチが金を稼ぐのは博打と酒のためやで。折角の泡銭や、博打に行かないなんて選択肢ウチにはないで」
「はーしょうがないなお前は。本当はついて行ってヤバい時にお前を止めてやりたいけど、俺もこれから外せない用事があるんだよ。だから着いて行けないけど、くれぐれもくれっぐれも!金を使い過ぎるなよ!もし金を使い過ぎてもう一度金を稼ぐ事になっても俺は手伝わないからな!」
「も〜分かっとるって、ここまでしつこくいわれたらいくらウチだって金を使いすぎんよ。流石にそこまでウチもバカじゃないで」
まぁ流石にここまで釘を刺したら、いくら博打狂いのこいつでも平気だろ。
「じゃあ俺はそろそろ次の予定があるから、そろそろ行くよ」
「おう分かったわ、ウチも賭場に行くわ」
そうして俺はタマモと別れて次の目的地に向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ユウとタマモはアンナとリーシアが戦っていたのを遠くから見ていた。
だが他の場所でもアンナ王女に会議に呼ばれた者達の中で数名ユウと同じように戦いの顛末が気になって戦いを見ていた。
そいつらとユウ達は皆、アンナ王女とリーシアの戦いはどうせリーシアが勝つと思っていた。
あの部屋に集まっていたのは全員高い位階を誇る強者達。
高い位階を持つ者は五感が発達しているため、人目見れば相手の強さは大体把握出来る。
アンナ王女もそこそこ強そうだったが、リーシアは王都でも有名な騎士。
実際に見てアンナ王女に勝ち目がないのは皆んな分かっていた。
なので皆リーシアの戦いを見たくて見学していた。
そしてあわよくば噂のリーシアの能力が見れればいいなと思っていたのだが....
それがまさかリーシアが能力まで使い全力で戦ったのに、それでもアンナ王女にボコボコにされるなんて誰も予想出来なかった。
この戦いを見ていた者達は皆、見ただけでは測る事の出来ないアンナ王女の底知れなさを知った。
アンナ王女はリーシアと戦う事で、自分の強さを見ていた者達にアピールするに成功したのだった。
アンナ王女は最初からそこまで分かっていて、リーシアと戦った。
結果的にアンナ王女はリーシアを部下に加える事と周りに自分をアピールするという一日で2つの目的を達成したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます