第三王女 対 不屈騎士 終
ドゴっ、バギッ、グシャ!
「がはっ!」
あれから私は王女に何度も諦めずに襲いかかった。
しかしその度に殴り、蹴飛ばされ私はアンナ王女にボコボコにされる。
私の能力は疲労だけではなく怪我もある程度ま治す事が出来る、しかしそれにも限度がある。
次第に傷を治しきれなくなっていき、少しずつ身体中に生傷が増えてきた。
無論私も攻撃を受けてばかりではない。
王女の隙を見つけてカウンターを何度も打ち込んだ。
だが、私がいくら渾身のカウンターを入れてもアンナ王女はけろりとしてやがる。
くそっ!
やっぱりこのままじゃダメか!
私はスタミナを消費せずに行動する事が出来る能力を持っている。
だがその能力は体の傷を回復しながらは使用する事は出来ない。
私は今、アンナ王女から受けた傷を癒すために能力を使っている。
そのせいでスタミナの回復に力を割いている余裕がない。
ここまで疲労したのは、能力を得てから初めてだ。
この疲労のせいで動きの精彩を欠いていき、私の攻撃は益々通じなくなっていく。
最初の方はまだ私の攻撃を痛がっていたというに、最早私の攻撃などアンナ王女は避けようとすらしない!
回復の方を止めて、スタミナの方に能力を割けば動きに精彩が戻ってまた攻撃が通じるようになるかもしれないけど...
回復を止めたらどのみち怪我のせいで直ぐに動けなくなる。
最早私に勝ち筋は無い。
回復に能力を割いて遅く負けるか、スタミナに能力を割いて早く負ける。
私の足りない頭ではこの最悪の二択しか思い浮かばない。
この化け物が!
こんな高い防御力と身体能力、普通の人間種が持てるような代物じゃないぞ!
一体どんな裏技を使ってやがるんだ!?
私は王女の正体不明な能力について考えていたが全く正体が思い付かなかった。
そうこう考えているうちに私の体が限界を迎えた。
足が疲労のせいで、少し滑り動きが止まってしまった。
やばいと思った時にはもう遅かった。
今のアンナ王女がそんな隙を見逃す筈がない。
私の動きが止まった時、アンナ王女は近寄り私の両肩を掴んだ。
くそっ!離せ!
両肩に置かれた手を振り解こうと抵抗したが、その前にアンナ王女は私を引き寄せ膝蹴りを私にぶち込んだ!
ドゴっ!バキバキっ!
「う、げほっ!」
アンナ王女の膝蹴りが私にもろに刺さった。
嫌な音が体から鳴り響く。
肋骨が数本折れた....くそっ。
あまりの痛さに立っていられず、私は地面に崩れて落ちた。
何とか胃の中身は出さずに済んだが、それでもあまりの痛みに私は地面に崩れ落ちたまま動けなくなってしまった。
そうして地面に倒れ込んだ私をアンナ王女は除きこんだ。
「さて、これで決まりかな。これで私が大口を叩くだけの実力はあると認めてくれる?」
「う、げほっ!.....ここまでされたら貴方の実力を認めざるを得ないでしょ」
自分でいうのもなんだが私は強い。
今の若手騎士の中では1、2を争うし、治安を維持するために戦闘経験は積んできた。
そんな私をここまで一方的に叩きのめしたのだ、アンナ王女の実力を疑う余地はない。
....私もこのままじゃいけないのは分かっていた。
王国を平和をするために何か出来ないかと、努力してきた。
だけど私にはコネもなければ、王国を救うための計画もない。
半ば王国を救うのを諦めながら、毎日惰性で公務に励んでいた。
だけどこの王女はプランもある上に強さもある。
この人に賭けてみるか、どうせこのまま生きていても不満を抱えながら何も出来ずに腐っていくだけだ。
例えこの人に騙されていたとしてもいい。
このまま何もせずに腐って生きていくぐらいなら一か八か大勝負に出てやる!
これは私に来た最後のチャンスだ。
私は痛み体に鞭打ちながら最後の確認をした。
「なぁ....アンナ王女様、あんた本当にこの腐った王国を変える事が出来るのか?」
「ああ私は絶対にこの王国を変えてみせる」
即答か....
この人の目には揺らぎが全くない。
本気で出来ると思ってるんだな...
いいだろう!
どうせ遅かれ速かれ上に目障りに思われて消されるんだ。
腐れ貴族に奪われるぐらいなら、王国を変える可能性が1%でもあるこっちに使った方がマシだ。
この命くれてやるよ!
「分かった、分かったよ。あんたの部下になってやりますよ!よろしくお願いします!!」
「ふふ、そうかじゃあこちらこそ宜しく。絶対に後悔はさせないよ」
「にしてもどうして私なんかを部下に欲しがったんですか?現状に不満を持っている騎士なら他にもいたでしょうに、どうして騎士に成り立ての私なんかを勧誘したんですか?」
「ああそれはな君の将来に期待しているんだよ。これは勘だけど君はこの王国で最強の騎士になる。だから早めに唾をつけとこうと思っていの一番に勧誘したんだよ。それに君は私の事を知らないだろうけど、私は君の事を調べていて君の人柄なんかも良く知っているんだよ。そしたらもう君を絶対に味方にしたいと思ったんだ。だから今日仲間になってくれて本当に嬉しいよ」
そうアンナ王女は笑いかけてきた。
「.....そうですか」
私は照れ臭くて顔を背けてしまった。
ここまで真っ直ぐ好意を向けられると照れる。
最近は貴族どもの悪意ばかりに晒されていたから余計に効く...
まともに顔見れない...!!!
やばい顔が赤いかも...
「おいおい〜顔を背けるなよ〜こっち向いて〜。あれ!?もしかして照れてる照れてんの!?」
「うるさい!こっち見んな!」
私は顔を覗き込もうとするアンナ王女を押し退けた。
「さてまぁ一応騎士としてこれはやっておかないと」
私はアンナ王女の前に跪いた。
「アンナ王女私は貴方に忠誠を誓いこの剣命が尽きるまで貴方に捧げ敵をうち果たします」
「おうそれでいいよ、これからよろぴく」
「軽いな....まぁいいか。ではこれからよろしくお願いしますアンナ様」
こうして私はアンナ王女の部下となったのだった。
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