第三王女 対 不屈騎士 2
なんだこんなものか....
私リーシアは王女との攻防を続けている中で落胆の感情を抑えられなかった。
とりあえず様子見で、半分以下に力を抑えて攻防をしてみたがそれを防ぐのにアンナ王女はいっぱいいっぱいだ。
あんなに大口を叩いていたくせに、この程度の力しかないのか。
確かに、今の年齢からみたらアンナ王女の実力は破格だろう。
このまま鍛錬を続ければいずれ私を超える事も出来るかもしれない。
だが、現時点では全く私の敵ではない。
基礎能力が私に劣っている上に私には疲労がない。
このまま持久戦にも持ち込めば私が確実に勝てる。
はぁ...なんかもう冷めてきちゃった。
挑発に乗ってカッとなって戦いを始めたのはいいけど、冷静に考えたら王族をボコボコにするのも後が面倒だし。
この辺で終わりにしようかな。
丁度アンナ王女が距離を取ったので、戦いを終わりにしないかと私は提案した。
これ以上戦っても私に得るものはないし、それに私の能力だって無制限に使えるわけではない。
能力を使用しないで済むならその方が全然いい。
私の提案を聞いた王女は少し考え込んだ後、大きく深呼吸をした。
すると、王女から先程まで感じていた物とは別人のような圧力を感じる。
生物の強さを測る位階。
その位階が上がるたびに人は五感や身体能力の強化したり、特別な能力が発現する。
私は一人前前とされる4位階。
それぐらいになれば一目見れば相手の身のこなしや、身に纏っている魔力の量や練度から大体の強さは分かる。
そして実際に戦ってみてさっきまではどんなに高く見積もっても、アンナ王女は私の3分の2程度の実力しかなかった。
だが今は私と同等、いやもしかしたら私以上の実力があるかも...
「....何をした、先程と雰囲気が全然違う。もしかして何か能力を使ったのか?」
「ふふ、その問いに対する答えはさっきと同じ私の部下になるなら教えてあげる」
チッ、はぐらかしやがって。
「ならっ、直接確かめる!!」
私は先程までの様子見とは違い全力で駆け寄り、アンナ王女に攻撃した。
私は渾身の右ストレートをアンナ王女に放った。
「くらえ!!」
バギッ!
アンナ王女は私の攻撃に反応せずに、私の拳を受け吹き飛んだ。
あれ!?
今の王女なら私の攻撃を避けれなくても防御くらいは出来るだろうと思って全力で攻撃したのに、予想に反して攻撃が入っちゃた。
私の全力の拳は岩すら容易に砕く。
そんな一撃がアンナ王女の顔面にもろに入ってしまった。
やばい....殺っちゃたかも。
私が冷や汗を流していると、倒れていたアンナ王女が立ち上がった。
良かった、死んでない。
私は王族殺しを犯していない安堵からホット一息ついたが、直ぐにある違和感を感じた。
アンナ王女は私の渾身の一撃をもろに顔に食らったというのに、少し切っている程度のダメージしかないのだ。
例え咄嗟に顔に魔力を集中して、防御力を上げたとしてもその程度ですむ筈がない。
それに殴った感触からして、魔力はあまり感じなかったし。
おかしいな、私の一撃ならまともに入れば格上相手でもダメージは入るのに。
私が不思議がっていると、アンナ王女が殴られたところを摩りながら近づいてきた。
「お〜いててて。今の私なら問題ないだろうと思ってワザと殴られたけど、まさかダメージをくらうとはね失敗、失敗」
今の私なら問題ない?
つまりアンナ王女の能力は防御力の上昇って事か。
だから私の攻撃を食らってもあの程度のダメージしか入らなかったのか。
成程大した物だ。
私の全力を食らってもかすり傷しか負わない程強固な防御力。
ここまでの防御力があるならあれ程の大口を叩くのにも納得だ。
だが私とは相性が悪かったな。
私の全力なら傷つく事は、今立証された。
私は疲労しないのだから全力で殴り続ければいずれ倒せるだろ。
全身をボコボコにすればそのうちに参ったするだろう。
私は近づいてくるアンナに駆け寄り殴りかかった。
くらえ!
私はアンナ王女のボディに向かって拳を放った。
今度は反応して私の一撃を避け、そのまま反撃で蹴りを繰り出した。
それを避けようと思ったが、さっきまでとは攻撃の速度が全然違う!
やばい避けれない!
私は咄嗟に攻撃が来るところに魔力を集中して防御力をあげた。
メキメキっ!!
「ぐう!!」
アンナ王女の攻撃を避けれずに私の脇腹に足先がめり込んだ。
咄嗟に防御力を上げたから致命傷には至らなかったが、それでも大ダメージだ。
私は後ろに飛び退き少しでも回復する時間を稼ぐ。
「うっ、げほ!げほ!」
ぐう....痛い、肋骨が何本か折れてるなこれは。
くそ!さっきまでの攻撃速度とは段違いに早い。
驚いてもろにくらっちまった。
にしても高い防御力に加えて爆発的な身体能力の上昇。
アンナ王女の能力は一体なんなんだ!
底が見えない....
「さて、どうする。もうこの辺で終わりにするか?」
「舐めるな、まだまだいける!」
私は大きく息を吸い込み、負傷箇所に魔力を集中した。
私の能力は疲れないだけではなく、魔力の消費が激しいがある程度の怪我までなら治す事が出来る。
私は折れた肋骨を治した。
私が怪我を治したのを見てアンナ王女は、驚いた表情を浮かべた。
「へ〜怪我まで治せるのか、随分と応用力のある能力だな」
「ふ〜これで完全回復だ。勝負はまだまだここからだ!」
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