小烏、仕事始めました

 こんにちは&こんばんは。

田舎で農家見習いをしていましたが、この度白羽の矢がズドンと刺さりまして仕事に出ることになりました。


 さて、仕事を始めたその節はたくさんのカクヨムさんにエールをいただきました。ありがとうございました。その応援はとても力になりました。そんな皆様にお礼も兼ねて、顛末をここに語りたいと思います。


 ◇ ◇ ◇


 それは(2023年)9月の末のとある木曜日の昼下がり。夫の携帯にかかってきた電話から始まりました。夫はかかって来た電話にちょっと渋っているような受け答えをしています。最後に本人に聞いてみますと言って電話を切りました。


 電話は町内の○○医院の奥様からの電話でした。


『奥さん(小烏のこと)、ずっと家にいるよね。ちょっと手伝ってもらえないかしら。電話番程度なんだけど。FAXを送ってもらうこともあるかもしれないけど』


 この○○医院の院長先生ご夫妻は、実は小烏夫婦の仲人です(今でも盆と正月にはご挨拶に行きます)。ついでにこの院長先生は小烏家の旦那寺の総代をされています。頼まれたらNOという選択肢がない間柄です。


 実は町内に今まで3軒内科があったのですが、そのうち1軒の先生が急死されました。そのため患者さんが残り2軒の内科に流れていて、受け入れる2軒の内科がいま大変なのだそうです。ちょうどインフルエンザの予防接種も始まるタイミングで、○○医院も受付事務のスタッフの二人が忙しすぎで仕事が回らなくなったのだそうです。ハローワークに求人を出すも、反応がないとのこと。


 全く寝耳に水、心構えもない状態で○○医院に出向きました。○○医院に行くと、院長夫人と事務の若い二人が待っていてくださいました。


奥様 「来てくれてありがとう。じゃ、後はこの二人から話を聞いてね」

小烏 「え? 」

事務Aさん 「レジとか触ったことはあります?」

小烏 「え?レジですか?

えーと大学生の頃にバイトで少し」

事務Aさん 「なら、大丈夫です。うちのレジ古いんで」

小烏 「え? 電話番とかじゃなかったのですか?」

事務Bさん 「あー、電話をかけてもらうこともあると思います」


 そういう流れで翌週から出勤することになりました。


 今から思うと「レジ」と聞いたときお断りすべきだったと思います。何しろ小烏、数字と英語は苦手なのです。今後生涯、レジの仕事には近づくまいと大学生のときのお土産屋さんのアルバイトをして心に決めて生きてきました。「2150円です」と言いながら「2510」と打ち込む特殊技術の持ち主なのです。その上焦ると「10010円」のお金を預かった時、レジを打つのに「1」の後「0」を何個押せばいいのかわからなくなるのです。


 そして説明も研修も抜きでいきなり仕事が始まりました。最初の一週間は真後ろで事務のどちらかがぴったり付いていてくださっています。しかし受付から回ってくるファイルの見方もわからず、保険証の区別もつかず、レジの打ち方も覚えられず、打ち間違えた訂正も出来ず、患者さんのお名前も呼び間違え(この地方独特の読み方がある)、凹むことしきりです。(この頃近況ノートなどで弱音を吐いていました)


 そして10月からは独り立ち。とはいえミス連発なのでレジを打つたびに事務のお一人がこちらを遠目に見ています。間違うとススッとやって来て指摘されます。もう毎日が試験の連続でした。(いえ、今もですが)


 こちらも毎日胃が痛い状況でしたが、使えないオバチャンがやってきてその教育もしなくてはいけない事務のお二人の心労はいかばかりかと思います。


 この二人がスゴいなと思うのは、こちらが同じミスをしでかしても、最初と同じテンションで注意するのです。怒るわけでもなく「何でわからないの? 」と声を荒げるわけでもなく。まぁ、患者さんを前にしているということもあるかもしれませんが、何度注意するときも同じテンションなのです。


 それは救いでもあり、情けなくもあることでした。本当に焦ると同じミスを繰り返しました。そのうち「このオバチャンに自分たちと同じスキルを求めても無理」と理解してくれたようで、患者さんへの説明や声かけは最低限外せない部分だけでOKということになりました。


 そして仕事は初めて一か月半の11月。何とか一人でレジを回せるようになりました。もちろんまだまだ自分で判断できるまでにはなっていないのですが、回ってくるファイルも保険証も貼られている付箋の意味も(多少)分かるようになりました。とは言え今だに二日に一回は何かミスをしています。


 今になってわかることは、忙しくなって手伝いを入れようと思ったとき素人に頼めるのは確かにレジくらいだなということです。そして個人病院の受付事務の業務は思ったより大変で、医療知識も広く必要だということです。彼女たちは患者さんの顔も名前も家族構成も、交友関係に診療履歴、投薬内容まですべてインプットされているようでした。


 そしてリクルートされた時に言われたFAXはまだ一度も送ったことはありませんが、乗り合いタクシーを呼ぶ電話をかけたことは一度ありますことを申し添えて今回のご報告を〆ようと思います。


 ここまで読んんでくださってありがとうございました。


 また泣きついた時に励ましてくださった

緋雪様、ありがとうございました!

 https://kakuyomu.jp/users/hiyuki0714



<お願い>

 あなたが買い物などでレジに行ったとき、そのレジの担当が不慣れな様子ならお願いします。どうぞ助けると思って、金額きっちりかお札オンリーでお支払いください。細かい小銭が支払いに参加いたしますと、不慣れなオバチャンは混乱しがちなのです。どうかよろしくお願いします。



追記

 小烏の住む地域の病院事情は、開業医の内科二軒、歯医者一軒。

以上です。

婦人科、眼科、小児科、整形外科などの専門医院地元にはないので山ふたつ越えて市立病院まで行かないといけません。そういうわけで小烏が席を置く内科には本当にいろいろな患者さんが来られます。

先日はチェーンソーで足をザックリ切られたオジイサンも来られて、さすがに救急車が呼ばれました。






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