ヒヨドリの恩返し(を、期待している)

 こんにちは&こんばんは!

田舎で農家の嫁(見習い)の小烏です。

 

 立冬を過ぎて数日、比較的うららかなお天気続きでした。

洗濯物も漬物用の柿の皮もよく乾いて、悩みの種だった柿の落葉もひと段落。

白鳥が上空を横切るのを目撃し、久しぶりにジョウビタキ(オス)を発見し、そういえばツバメは見なくなったと思うこの時期。


 夕方になると鳥の大群…いえ中群が鳴きながら上空を飛び回っています。

同じ鳥かどうかは定かではありませんが、早朝には電線に雀より一回り大きい鳥たちが電線を占領しています。

お行儀よく等間隔で「ソーシャルディスタンス」を守っています。


 さて、それは数日前のことでした。

母屋と離れの間にある通路でなにか不思議な物音がします。


 以前にも書いたので覚えておられる方もあるかもしれませんが、義実家の母屋と離れとの間には東西に通り抜けが出来る通路があります。

雨の日はここに洗濯物を干します。

風が通るので茶葉を摘んだ後の選定作業とか、豆の選定もここに敷物を敷いて座り込んでします。

七輪で魚を焼いたり、焼き鳥をするのもここです。

ご近所の地域猫の通路でもあり、燕が巣をかけるのもここの壁です。

 

 通路の頭上は母屋と離れを繋ぐ大屋根と二階同士に架かる渡り廊下。

このたたみ一畳くらいの長さの短い渡り廊下は、西側はレースのカーテンの付いた嵌め殺しのガラス窓があり、東側は壁が胸の高さまであるだけで開放になっています。


 この通路のところで何かがどこかにぶつかる様な音がしています。

気になって出てみると、鳥が一羽バタバタと大騒ぎしていました。


 雀より一回り大きな茶色がかったグレーの鳥です。

燕は難なく通路に出入りしていたので、どうしてその鳥がパニックになっているのか不思議です。

どうやら通路から出たいらしいのですが、上に上にと飛ぶばかりで入り組んだ屋根のあちこちにぶつかっています。

ちょっと下がればすぐに庭に出られるのに、そのルートが見つからない…というより思いつかない感じです。


 そのうち渡り廊下の嵌め殺しのガラスに激突していまいました。

明かりに誘われたのでしょうか。

心配になって二階に上がってみました。


 明るい窓から出られると思ったのか、窓ガラスとレースのカーテンの間でバタバタと懸命に羽ばたいています。

床には抜けた羽がたくさん落ちていました。


 なんか、このままだとメッチャやばい気がする!


 とりあえず鳥を捕まえようとカーテンの向こうにそーっと手を伸ばしますが、鳥は当然のとこながら必死で逃げ回ります。

そのたびに羽毛が舞うので、このままでは丸禿げになってしまうのではないかと気が気ではありません。


 直接捕まえるのはやめて、レースのカーテンごとそっと鳥を捕まえようとしました。

何度かトライして、やっとカーテンごと捕まえました。

小さくて暖かい命です。

大騒ぎをしたためなのか、心配になるほど早い鼓動です。

「もうすぐ外に逃がしてあげるからね」と思いますが、脚の爪がレースに引っかかって取れません。

カーテンごと胸に抱き込んで、ばたつかせる脚を押さえ一本ずつ爪を外していきました。


 昔、子猫がカーテンに上っては爪が引っかかって下りられなくなり、助けを求めて鳴いていたことを思い出しました。

鳥の爪は子猫より鋭く長く、子猫より細いのでより注意が必要でした。

小烏が必死に頑張っている間、手の中の鳥は爪を外そうとしている右手に何度も嚙みついてきます。

嘴は細く少し長めなので、つつかれたら痛そうでしたが噛みつくだけ。

「バカバカ!」と言いつつ胸元を力ない拳で叩く女の子のようです。

時代劇でよく見る「いヤツ」という気持ちがちょっとわかりました。


 何とか爪を外しそのまま庭まで行って手を差し出すと、一直線に空に向かって飛んでいきました。

あとに残ったのは渡り廊下に落ちた両手にこんもりとした量の羽毛。

こんなに羽毛を失って、大丈夫なのでしょうか。

寒くて凍えているのではないかと心配です。


 調べてみたら、この鳥はヒヨドリでした。

ヒヨドリの換羽は九月頃とのこと。

換羽の時はたんぱく質をたくさん食べないといけないそうです。

今から虫、見つかるかなぁ?

大丈夫かなぁ。

何とか新しい羽毛を生やして冬を乗り切ってほしいです。


振り返って、ひとんちの薄暗い屋根の下を平気で行き来し、巣まで作るツバメ。

なかなかしたたかで、賢い鳥だと思いました。


近況ノートに写真があります

https://kakuyomu.jp/users/9875hh564/news/16817330650154515209

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