照れ
……私こと飯田
この気持ちは、出会ったときからずっとあった。
不良に絡まれていた私を助けてくれた、王子様。それが彼だった。
彼が好きで、ずっとずっと熱心にアプローチを続けた。
そしてようやく、ようやく……彼が少しずつだけど、私に振り向いてくれている、気がした。
うれしいと同時に……私には別の感情が芽生えていた。
照れ、というか、羞恥心……ってやつだろうか。
昔は、自分の裸身を彼にさらすことに何の抵抗もなかった。
同世代と比べて、比較的整ったこの美貌と体つきは、強力な武器だ。
そう、私のこの顔も、体も、男の子……というか、亮太君を落とすための武器として使っていたのだ。
なんとしてでも、彼の心を射止めなきゃ。
そのために、使える物は使う。
セックスもいわば、彼を落とすための道具の一つに過ぎなかった。
……でも。
今は、照れてる。
恥ずかしい。
彼に……体を見られるのが、なんだかとても恥ずかしく感じるのだ。
なんでだろう、昔は、誰にも見せたことが無い穴を亮太君に見せても、平気だったのに。
彼に、そういう部分を見られるのが恥ずかしくなったのだ。
この変化は、なんなんだろう。
どういう心境の変化なんだろう……。
……と。
寝室で悶えていたそのときだ。
ぶー!
ぶー!
ぶー!
スマホが震えている。
表示は……。
【豚】
「なんだ、
こんな夜更けになんだろうか。
無視しても良かったけど……今はこの胸に抱えてるもやもやを、誰かと共有したかった。
スマホを手に取って、通話にでる。
まあ、いちおうこっちから物を聞くのだ。
少しだけいつもより、態度を和らげてあげよう。
「こんな時間にかけこないでください、迷惑豚。ぶーぶーうるさいんですよ」
『ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!』
ほんと、うるさい豚だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【★お知らせ】
新連載はじめました。
読んでくださるとうれしいです。
【タイトル】
世界を行き来できる力を手に入れた俺が、異世界でチート無双し現実でスローライフを送った結果~いつの間にか【長野の神】になっていた!?~
【URL】
https://kakuyomu.jp/works/16817330652651126320/episodes/16817330652652450155
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます