【第一部(完)】【第55話】新天地へのプロローグ
討伐艦隊の混乱の隙を突き、俺たちは未開拓宙域に向けて宇宙を疾走した。
途中、アーサー兄上が率いる艦隊と、ハリー兄さんやエラ姉さん、そしてその艦に乗っていた母妹たちと合流を果たす。
(俺とリリア、マーニにソール……最初は四人だけだった俺の艦も、いつのまにか大きくなったものだ)
ドレイク家の父母、兄姉、そして妹。
元奴隷のガンドたち。
三人目の女神ノート。
『古き貴き家門』のメアリー、アミャーミャ、アンジェリカ。
そしてこの宙域で奴隷から解放した元奴隷兵たち。
大所帯になったアルヴィース号を先頭にして、俺たちは未開拓宙域へと足を踏み入れた。
目の前に広がるのは輝かしい未来――だけじゃない。
奴隷たちを集めて解放して国を興すためには、居住可能な惑星を見つけて開拓していかねばならない。
『古き貴き家門』は反逆者として俺たちを追求してくるだろう。
異世界の神からの侵略も止まることはないだろう。
それでも。
今、目の前に広がる可能性は無限大だ。
だったらやることは一つ。
輝かしい未来を掴むために手を伸ばす。
それだけだ。
「いよいよですね、ご主人様」
俺の腕に手を添えながら、リリアが感慨深げに呟く。
「ああ。これから俺たちの望んだ世界を実現するための戦いが始まるんだ」
自由で、公平で、誰もが納得して生きていける、ごく普通の世界。
そんな世界を目指すためにアルヴィース号は宇宙を征くのだ。
俺は艦長席の端末を操作し、仲間たちに号令を掛けた。
「さあ行こう! 望む未来を創るために!」
//第一部(完)
//あとがきに続く
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