真実
目を開けると、吃驚した顔で高校の時の制服を着た柳が居た。
「え?誰ですか?」
「柳?」
「何で、名前を知ってるのですか?」
「ここは?」
「不法侵入、不審者」
通報しますって勢いで携帯を掴んでた柳を、落ち着かせようと手を掴もうとしたらすり抜けた。
「えっ?幽霊?」
「幽霊ってどちらかと言うと柳だろ」
「ん?」
夢かも知れない。
部屋に飾ってあったカレンダーの日付を見て、ここが過去かもしれないと思った。
「俺は〇〇年から来た鈴木文彦だ。」
「えっ、鈴木さん?確かにイケメンさに面影がある」
「信じられないかも知れないが聞いて欲しい」
俺の真剣な顔に柳も真面目に聞く体制になった。
「今週の日曜日に君は死ぬ」
最初は信じて貰えなかった。
でも、柳と過ごした2日間と柳の死因を全て話した。
「お願いだ。コンビニ行くな。俺は、あの時あのまま君と芽生えた恋を育みたいんだ」
「うん。分かった。コンビニに行かないから安心して」
まだまだ、伝えたい事があった。
だが、また眩しい光が現れてギリギリまで目を開けて、耐えられなくて目を瞑った。
最後に柳を目に焼き付きたかった。
目を開けると、いつの間にかベッドに眠っていた。
夢なのか...?
机の上に柳の宝箱があったのを見つけて、絶望をした。
なんて、残酷な夢だろうか。
俺が眠ってた時間は1時間程度だった。
もう、眠れる気分でもないから柳の墓参りに行こうと決め、着替えたりと準備をする。
その間に、シーンと静かな部屋が嫌でテレビを付けてニュースを流した。
「20年ぶりにスーパームーンと共に一夜だけ咲く珍しい花が見れました」
「20年振りって事は...」
朝早くに、墓参り用のに花屋で花を買った。
定期的に来るから、慣れた道で滞りなく柳の墓に辿り着く。
墓を掃除して青色の花を置いた。
今日は残酷な夢を見たんだ。
君に会えた夢を...。
物思いに耽ってると
「鈴木文彦さんですか?」
声を掛けられ振り返った。
柳の弟と女性を一人連れていた。
「そうです。久しぶりですね」
「久しぶりです。毎年、姉の墓参りをありがとうございます」
「いえっ」
「姉も喜んでると思います」
柳の弟を初めて見たのはお葬式の時だった。
彼はまだ小学生で泣いてた。
「大きくなったな」
「もう、三十路ですよ」
「そんなになるのか...。」
「姉に報告したい事があって来ました。是非、鈴木さんも聞いて下さい。」
彼と彼女は柳の墓の前で手を合わせた
「姉ちゃん、今度、結婚する事になったよ。彼女のお腹に子供も居るんだ」
「柳美琴さん、弟さんと結婚させて頂きます、みきと申します。あの時、お姉さんに助けられた者です」
俺は女性が言った言葉に気づいた。柳が死んだ理由と出会ってしまった。
「小さかった私を助ける為に、ごめんなさい」
女性の声が泣いて震えてる。
「みき...。姉ちゃんは謝って欲しくないと思うよ。それに、凄く苦しんできたのも知ってる。姉ちゃんは、苦しんでる人を見捨てられない性格なんだ」
柳は、大人しそうな外見に反して、男前な性格だったな。
「みきも鈴木さんも過去に囚われないで欲しいです。過去を悔いて、こうすれば死ななかったかもしれないと悩むと思います。俺も悩みました」
「考えてしまうよ。あの場に小さい子供の私が居なければ...。」
「姉ちゃんは、みきが、あの場に居なくても別の人を助けたんだと思うよ。例えば、死ぬと知ってても助ける様なそんな性格をしてる。それ位にお人好しだ」
その言葉を聞いて情けないと思ってても俺は泣いた。
柳の弟と女性が驚くのを自覚しても涙を止める事は出来なかった。
柳のお葬式でも泣けなくて、ずっと泣けなかった。
そして、気づいた。
柳は俺を選ばなかった。
死ぬと知ってても
私が月曜日を生きてたら、不思議な話をしてあげる
俺は柳に、月曜日に告白をして恋の芽生えを育みたかった。
死ぬと知ってても柳は、小さな女の子の未来を守ったんだな。
そして、その子供が柳の弟と更に先の未来を紡いだ。
柳の弟と前に付き合った彼女は、俺は過去に囚われてると思ってる。
だが、俺が囚われてるのは彼女と俺が生み出した呪いだ。
俺は自覚したよ。
君の
永遠の呪い 千夜すう @chiyasu_
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