第30話 次の街へ
土と水の水晶から力を得ることができた。次は火山帯にある街を目指す。いうまでもなく、炎の大水晶だ。街の周辺はかなり気温が高いらしい。暑さにやられないように気をつけたほうがいい。
目指す街までは1日あれば着ける距離だ。火山を目視できるくらいに近い。モンスターも生息していないそうなので、簡単に辿り着けることだろう。
スカイと一緒に会話を楽しみながら歩いていた。火山帯に近づくにつれて、だんだんと気温が上がってきた。噴火の可能性は低いものの、マグマが溜まっているのだ。その熱が地表まで伝わってきているらしい。
無事に街に到着した。住民たちはかなりの薄着だ。話を聞いてみると、一年中で気温が高いらしい。ただし暑さに慣れているので、住民は難なく暮らせるそうだ。飲料水は麓の湖から汲み上げている。地下水は存在し得ないからだ。食料に関しても、暑さに耐えれる作物しか育たない。
それでも今ある環境と共存して暮らしているわけだ。火山も当然に噴火する危険性がある。と言っても、数年前に大規模な噴火があったので当分の間は心配ない。小規模なものでも数十年に一度しか起こらないのだ。
いざという時に迅速に避難できるよう、この街では代々にわたって教訓として受け継がれているそうだ。防災意識はとても大事なことだ。
町長の家を訪ねて挨拶をすることにした。すると熱烈な歓迎を受けることになった。どうやら、神殿にモンスターが出現するようになったことで非常に困っているようだ。そこへ救世主が現れたので、すごくありがたいということだった。
あまり期待され過ぎてしまうと、それはそれでプレッシャーになる。だけど、自分たちが為すべきことは変わらない。任務遂行のために頑張るだけだ。しっかりと装備を整えて、抜かりなく準備を進めた。
次に待ち受けるのがどんな敵であるかは全くわからない。住民たちも神殿につかづけないため、直接モンスターを見た人はいないそうだ。とはいえ火山のマグマが平気なのだから、熱や炎には耐性があるのだろう。
翌朝、さっそく神殿に向けて出発した。神殿は一番大きい山の火口内にあり、すぐそこまでマグマが迫っている場所だ。滑落しないように気をつけて進む必要がある。街から山頂までは数分の距離だ。
山頂に着くと、辺りを見回した。まだモンスターは居ないようだ。そこから神殿を確認することができた。建物の周囲には確かにモンスターらしき生き物が動いてるのが分かる。
たくさんいるのはサラマンダーだろうか。かなり大きい個体もいるようだ。どうやら他の種族はいないようで、全てサラマンダーみたいだ。つまり火属性の敵というわけだ。
敵に気づかれないように注意しながら、神殿へと近づいていった。そして岩場の陰に隠れて、敵の様子を観察することにした。数は50匹程度といったところだろうか。それが一つの群れを作って生息している。
一際大きな個体がいて、それが群れのボスなのだろう。その周囲を数匹が取り囲んで守っている状況だ。一度に全ての敵と対峙することは無謀すぎるかもしれない。なんとか群れをバラバラにできないものかと考えていた。
異世界少年タケルの冒険記 ソウト @soto0116
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