第29話 水の大水晶
僕たちは神殿の中へ一歩を踏み出した。敵モンスターを一体ずつ倒していく。さまざまな種類のモンスターがいるが。そこまで強くはないようだ。スカイと一緒に手分けして倒していった。
全ての敵を倒した後、さらに奥へ進んでいった。神殿内にも川が流れていて、水の気で満たされている。涼しげな雰囲気だ。そのまま先へ進むと、分かれ道になった。左側はすぐ行き止まりになっているようだ。
右側を進むことにした。そこからさらに奥へ進むと、大水晶が見えてきた。あと少しというところで、モンスターが現れた。やはりそう簡単にはいかないようだ。かなりの数のモンスターが出てきたが、今度も一体ずつ倒していくだけだ。
神殿の中が水の気で満たされているということもあって、モンスターは全て水属性のようだ。炎魔法はほとんど効かないだろう。といっても、剣で戦う方が手っ取り早いだろうと思う。動きが鈍く、サッと斬りこめば容易く倒せる。
スカイと協力しながら、地道に敵を倒していった。しかし、どんなに倒しても数が減らない。大水晶の横にある泉から魔力を感じる。そこからどんどんモンスターが生み出されていいるのだろう。
敵を倒しつつ、泉を封じる必要があると考えた。そこで、スカイと役割を分担することにした。スカイがモンスターを引きつけて戦っている間に、僕が力魔法で泉を封じるのだ。
スカイに負担がのしかかってしまうので、僕も素早く行動しなければならないだろう。スカイと合図で連携を取ってから、行動を開始した。敵が引きつけられている間に、サッと泉まで移動した。
泉の前に来ると、すぐに魔法を発動した。力魔法で物理法則そのものを変換することによって、モンスターを生み出す効果をなくしてしまうのだ。力魔法は修得が難しいが、身につけてしまえばすごく力となる魔法だ。
あらゆる物理法則を自由自在に操ることができる反面、魔力や体力の消耗も激しくなる。普段からの鍛錬が重要なのだ。もちろん毎日、体力錬成に励んでいるわけだが、スカイと一緒に高め合っているので飽きることはない。
無事に泉を封じることができた。これで新たにモンスターが出てくることはないだろう。今もスカイが一人で引きつけてくれている。すぐに応援に向かった。二人で協力して、敵を倒すことができた。
無事にモンスターを倒したあと、ゆっくりと水晶へ近づいた。まだボスレベルの敵とは戦っていない。ボスがいるかどうかすら情報がないが、用心しておくに越したことはないだろう。
なんの変化もなく、大水晶の前にたどり着いた。そして無事に水の気を剣に宿すことができた。そして神殿から出ようと後ろを振り返った。すると急に大きな音が起こって、神殿全体が揺れ始めた。頑丈な造りなので倒壊することはなさそうだが、念のために出口へと急いだ。
神殿の最深部から出ようとした時に、目の前を何かが通り過ぎた。そして揺れはおさまった。何かがすぐ近くにいるのは間違いない。剣を構えて、戦闘態勢に入った。前方からかなり強い気を感じる。
いつでも戦える状況を保ったまま、前に進んでいく。気配がする場所は大水晶の上部だ。上を見上げると、穴があるようだ。その中にいると考えて間違いないだろう。しばらく様子をうかがっていると、それが顔を出した。
僕たちと目が合うと、大きな翼を広げて下へ降りてきた。どうやらこの神殿を守る水の
その試練とは、この神殿を司る神像と戦うというものだ。この奥に隠し部屋があって、そこに神像が祀られているのだ。その神像に関する情報は一切もらうことができない。全て自分達の力で打ち勝たなければいけないのだ。
しかも魔法で倒すことは許されない。己の剣術によって神像を倒さなければならないのだ。今現在のところ、剣には土と水の気が宿っている。それが有利になるかどうかは実際に自分の目で確かめなければならない。
しっかりと準備を整えてから、試練に向かった。スカイと一緒に挑むことができるそうだ。二人で力を合わせれば、きっと壁を乗り越えることができるはずだと信じている。二人の絆を見せつけるところだろう。
これから始まる試練は今まで以上に難しい。どんな敵かすら分からないのだ。情報収集を同時に行いながら、戦わなければならない。スカイと僕が交互に敵に挑みながら、もう片方が情報収集をすることにした。
試練の部屋に入ると、中央の奥に神像が鎮座している。さっきの精鳥が呪文を使って神像を覚醒させるようだ。準備はいいかと聞かれ、いよいよ試練が始まった。神像がうめき声を上げながら動き始めた。
僕たちは剣を構えた。まずは僕が敵に斬り込む。相手の体表はすごく硬い。なかなか剣が通らないのだ。像ということもあって、かなり硬い素材でできているようだ。まずはなんとか攻撃に持ち堪えながら情報収集をしていく。
相手の攻撃にはパターンがあることが分かった。それによって攻撃を避けやすくはなった。どうやってダメージを与えるのか、それを探らなければならない。僕の疲労が溜まってきたところで、スカイと交代した。
スカイは人の姿とオオカミの姿、両方で戦うようだ。より多く情報を得ることができればということらしい。すごく頼りになる相棒だ。やはり剣の攻撃はいつまで経っても効いていないようだ。
そこでスカイがオオカミの姿になって、突進やしっぽで攻撃したり、噛み付いたりなど色々試してくれた。しかし、どれも効いていないようだ。魔法を使うことが許されないのがすごくもどかしい。
しかし、達成できない試練は与えないはずだ。魔法が使用不可という条件であっても倒せる方法があるはずだ。諦めるのはまだ早い。それに任務達成のためには、何としても乗り越えなければならない壁なのだ。
スカイと共に体勢を整えて、再び敵に向かっていった。片方が敵を引きつけて、その間にもう一人が背後に回ってみることにした。今度は僕が敵を引きつける。そしてその間にスカイが背後に回って、そのまま斬り込んだ。
すると、背中に赤く光る部分があったようだ。それを剣で破壊すると、敵を覆っていた堅い殻が消え去った。そして軟らかい身体が現れた。そこへ二人で同時に斬り込んだ。すると今度は剣が通り、ダメージを与えることができた。
そのままトドメを刺そうとしたのだが、再び堅い殻が復活してしまった。どうやら時間勝負のようだ。今度はスカイが敵を引きつける。その隙に僕が背後から斬り込んでいく。赤く光る部分は毎回変わるようだ。かなり高い位置にあったものの、高くジャンプして、無事に破壊することができた。
そして再び軟らかい身体が姿を現した。時間勝負だと分かったので、どんどん連撃で斬り込んでいく。すると、敵の身体の中心部に青く光るコアのようなものが見えた。それを破壊するのだろう。
二人でタイミングを合わせて、コアに斬り込んだ。するとコアが破壊されると同時に青白く輝いて、剣に吸い込まれていった。そこへさっきの精鳥が現れた。
神像を倒したことで、剣に宿る水の気が完全に覚醒したそうだ。土の気と切り替えるには自分で念じるだけでいいらしい。普通の人は呪文を唱えなければならないのだが、僕は強い魔力を持っている。スカイは剣で見ると、僕の眷属として扱われるらしい。そのおかげで僕たちは無詠唱で気を切り替えることができるのだそうだ。
これでより戦いやすくなったはずだ。残る大水晶はあと5つだ。ひとまずは街に戻って報告だ。さっき来た道を戻りながら、スカイと喜びを噛み締めていた。そして町に着くと、町長の家に向かった。モンスターは討伐したし、神殿の泉も封じることができた。その封印は、人を超えた存在にしか解けないようにしてある。これで町の人々が穏やかに暮らせるはずだ。
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