肝試しから始まる、心霊スポットでの出会いが、私の夏を変えた。それは……

この作品は短編ながらも、主人公の女性が抱く青春の一瞬を切り取り、自己成長と他者との関わりを丁寧に描いた心温まるストーリーです。

特に、心霊スポットで不思議な男との出会いを通じて、彼女自身のコンプレックスを前向きな力に変えていく姿勢が印象的です。

そして、作者は短い言葉で情景描写を伝えるのが本当に上手です。「蝉の鳴き声が少なくなった」「朝陽が昇り始め、空が白んでいく」「夏休み終了まであと三日」といったように。

また、エンディングを迎えて、ラフ男子との会話を通じ、他者のために行動することの大切さを学び、最終的には遊園地のお化け屋敷で働くことを決意する姿に、胸が締め付けられます。ここも余韻を残したまま終わるところが、とても良いです。

ホラーというジャンルでありながら、読者を引き込む雰囲気づくりがとても素晴らしく思います。素敵な作品をありがとうございました。