第一章 4『魔物からの逃走劇』

『ぐぁぁぁ』


 外には魔物が大量にいる。

 なぜこうなったのか。

 それは今ちょうど、ミライの能力を封印するはずの札が取れたからだ。


——やばいやばいやばい。


 俺は今、とても焦っている。

 どうする。ミライにまずは伝えなければ。

 俺は部屋を飛び出して、大声で叫んだ。


『外に魔物がいます。早く逃げてください!』


 色々な部屋のドアが一気にあいた。


『やばい。どうるすんだ』

『もぅやだ、死にたくない』


 使用人やメイドなどが部屋から出てきた。

 混乱している。

 すると、後ろからミライがこっちにきた。


『スト!呼んでくれてありがとう。それよりこれって…』


 俺はミライに札を渡した。


『これ…』


 ミライは絶望した顔をした。

 やはりか。渡さない方が良かったかもしれない。渡したら、自分のせいで、って思ってしまうかもしれないからだ。

 それより、札が剥がれてから一瞬にして魔物がきた。

 少しの間とかあってもいいのだが。

 そんなにミライの能力はやばいのか?

 すると、疑問に答えてくれたかのようにミライの父親が後ろからきていった。


『ミライ…。能力を溜めすぎて札を剥がした瞬間、その能力が爆発したんだろう』


 ミライはその言葉を聞きとても申し訳なさそうに

『すいませんでした』

 と言った。


 そうゆうことか。

 能力を札で封印しすぎたせいか、溜めてた能力が爆発し、こんななったわけか。

 しかし、これからどうするんだ。

 戦うか?逃げるか?

 どちらも無理だ。

 戦ったら確実に負ける。(俺が最強の能力とかに目覚めたら別)

 逃げることもできない。多分だが外はもう魔物が包囲しているだろう。

 どうする。


『ローデ(ミライの父親)さん、これからどうします…』


 ………………え?

 俺は言葉を発すことができなくなった。

 おい。おい。

 目の前には赤い色の液体が溢れていた。

 

『お父さん!!』


 ミライはとても大きな声で、そして震えた声で言った。

 そう。ローデ=アクア。アクアの父親は死んだ。


『きゃぁぁぁぁあぁぁぁぁ』


 この家の使用人やメイドなどが悲鳴を上げた。

 俺は悲鳴どころではなかった。恐怖しかなかった。

 俺は一度死んだことがある。だからわかる。死ぬ時の痛さが。


 しかしながら…。

 目の前にはアクアの父親の死体とともに狼のような魔物もいる。

 アクアは泣いている。

 逃げれるか…。

 自分1人で逃げるか。

 いや、それはダメだ。アクアのことは放っておけない。昔の俺なら見捨ててたかもしれない。でも今は違う。

 俺はアクアの手を取り、魔物がいる方の反対側に逃げた。

 アクアは目を動かさず、何もかも失った感じの目をしていた。

 後ろではどんどん使用人やメイドなどが殺されてっている。

 やばいやばいやばい。

 

『この町の中央の城に逃げろー』


 1人の料理人が言った。

 俺はそれを聞き『あそこか』と思い出し、向かおうとした。しかし、どうやって行く。家の周りには魔物。さらにはアクア狙い。

 まて。札を貼ればもしかしたら。

 俺はそう思い、服の中に手を入れ札を貼った。

 今の俺にはエロさなどそんなの無かった。逃げるために必死だった。

 しかし、札は貼ったものの落ち着かない。

 時間がかかるのか?まぁいい。早く逃げよう。

 俺は入り口のドアを開いた。

 いちかばちかだ。試すか!!


——すぅーーー。


 俺は息を吸った。


——空気の音を感じろ。


 俺は目をつぶった。


 普通ならこれをしてる間に死ぬ。が、なぜか時が止まったような感じがした。


 風よ。『こい!!!!!』


 俺は魔法を唱えた。いけ!

 風が吹くようにスラスラと、筆記体で英単語を書くようにスラスラと。

 俺は魔物たちを避け、ある道についた。

 成功した!

 

『スト…?』


 アクアの目が戻った。

 

『スト。魔法使えるの?』


 そう聞かれた。


『うん』


 俺は、うん、とだけ答え城に向かった。

 しかし、後ろからは魔物たちが大量に追いかけてきてる。

 やばい。

 俺は今、生まれてきた中で一番足が速い。だから逃げ切れる。

 わけではなく…。

 俺は追いつかれそうになった。

 そして、後ろにいる牛のような形でツノをもって金棒をもってる魔物が、金棒を振り下ろそうとしてきた。


 え?

 俺は驚いた。

 ミライが後ろにいる魔物の三分の一くらいを斬って殺したのか。


『すげぇ』

『すごいなんて言ってる暇はない。早く急ぎましょ』


 俺らは、5分くらい走り、ようやく城についた。

 よかった。なんとか助かった。

 しかし、まだ札の効果はないのか。

 城を囲むように壁があるが、壁の周りには大量の魔物が壁を壊し、入ろうとしている。

 早く。早く。効果でろ。


『ミライさん…?』


 緑色の髪をしたロングヘヤーの女の子が話しかけてきた。

 

『レミ?』

『そう。レミ!レミ=ナーデント』


 レミ=ナーデントか。

 まぁ、知らなくていい人だが、かわいい。でも俺にはミライという心に決めた人が…。


『この魔物の量やばいですね』

『うん…』


 ミライはとても気まずそうな顔をしていた。


『ごめん。これ私のせいなの』

『えっ。まさか』

『札が…』

『私はミライさんの元召使いで幼馴染。責めたりしないわ』

『ありがとう』


 それにしても幼馴染で元召使いって結構難しい関係だな。

 すると、そのレミという人が気になる発言をした。


『もし、この城にある【エルレーゼ】が壊されたら、私たち…』


 エルレーゼ…。エロゲーの名前だ!!!!


『たしかに。やばいわね。そうなったらやばいから、私この城から出てった方がいいよね?』

『自分のせいだと思わないで。ここにいて安静にしてましょ』


 エルレーゼ?そんなにやばいものなのか?


『あの…。エルレーゼってなんですか?』

『スト知らないの?エルレーゼって、破壊されたら世界が無くなってしまう恐ろしいものなのよ』


 は?世界がなくなる?何を言ってるんだ?

 その物が破壊されたら世界が破壊されるのか?

 俺は今、もしそれが破壊されたらという想像をしてしまった。


『それより。あなただれ?ミライさんの友達?』

『友達です!』


 ミライはそう言った。

 ミライ!友達って思ってくれてたのか!

 まだあって一日だけど。ありがとう!!

 

『騎士団があの魔物やらを全滅させてきます!』


 カッコいい防具をきた騎士団?とやらがここに避難してる人たちに向かって言った。

 カッコいい!!!!


 騎士団は剣を抜き、馬に乗り、門を開ける準備をした。


『騎士団!突撃!!!!』


 リーダーっぽい人が言うとともに後ろにいる400人くらいがついて行くようにして門を出た。



 

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lw:異世界は何度でも @Takahashi0404

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