マイナス
男は幼い頃から健康で、病気や障害とは縁がないように思えた。
ところが、この頃はやけに視力が悪い。
当初は、目が疲れている程度だと思い気にもしていなかったのだが、男の目は改善するどころか日に日に悪化する一方であった。
慣れないメガネやコンタクトレンズを使ってみるも、落ち続ける視力には満足な効果は得られなかった。
やがて男は世界を認識できなくなっていった。
視界が全てぼんやりとした煙のように見え始め、その色すらも見ることができなくなった頃、男は気付いた。
その目に映ったものは、真実であろうか。
3分で読める短編集【記憶を売った男】 @water1summer
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