第2話 平成31年4月

私の名前は、文屋滋ふみやしげる

真面目だが、飽きやすい、そんなハンパな男だ。

対人援助職だが、職場では浮きがち、そんな不器用な男だ。

争いは嫌いだが、対戦ゲームでは勝ちにこだわる、そんな裏表のある男だ。

ドライアイだが、おジャマな魔女たちの物語をとおしで観て泣く、そんな情に脆い男だ。


28歳で妻と結婚し、マイホームを手に入れた。順風満帆…と言いたいところだが、実際は、妻のご両親の好意で、亡くなられた妻の祖母の家を間借りさせてもらうことになっただけである。


妻は、同じく対人援助職で、しっかり者のカミさん女房である。出会った当時は仕事一筋で、相当な苦労をしてきたようだ。イケメンと夢の国をこよなく愛しているあたり、間違いなく現実を見限っているのだろう。


私と妻は、年号が移る頃、今の町に越してきた。新婚でいきなりの一軒家生活。2人で家具の相談をしながら、新生活に心ときめいていた。

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自治 フウ呂 滋心 @senzanko

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