第123話「子育て」

「子育て――。特殊な才能を伸ばす英才教育など、家庭それぞれに工夫があるにしても、子をまっすぐに育てる一番の肥やしは真心と真の愛情です。植木に朝夕、水をやって慈しむように、愛をあたりまえのこととして子に与えたならば、子は必ずや親を鏡に成長していくものです」

「はぁ、はぁ。でもあなた子供を持った経験がありませんよね?」

「それが何か?」

「いえ、別に……」

「私は子供を作らない主義なんです」

「あー、そうですか」

「子供を作るのは夫婦の自由ですからね。ただ、子供を育てるという義務だけは、親に課せられています。これは男女平等の問題ではありません。男女差別なく子供が生まれてくるのなら、それはそれでいいでしょう。しかし現実には男か女しか生まれないわけで、この世に生を受けた以上、男は男らしく、女は女らしく育てるべきだと、私は考えます」

「その男らしく、女らしく育てるのはどうすればいいんですか?」

「それは、親の役目ではないでしょうか? つまり私が言いたいことはですね、『子供の育て方』というのは、実は親が教えるものであって、教師の仕事ではありえないということです。学校の教師たちはみなさん、子供を教えてあげているつもりでしょうが、子供たちの方はみなさんを先生だと思っちゃいないですよ。まぁ、一部の例外はあるにしてもね」

「ふぅん……。じゃあ、LGBTQの子にはどう接すればいいですか?」

「それもまた、親御さんの役目だと思いますよ」

「えっ!? でも親は忙しいから……」

「忙しくても、それくらいはできるはずです」

「う~ん……」

「私に言えるのはこれくらいです」

話が終わってその場を離れて……。

「教養人でも教育の素人は駄目だやっぱ!」

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