第111話「月面農業」

月の土を植物栽培に仕える土壌にする技術を開発。203X年、月面農場が稼働した。

そして、203X年、地球は食糧危機に陥った。月では、農業プラントで収穫された作物が大量に備蓄されている。だが、地球の全人口分を賄える量ではない。そのため、地球上で生産された農作物を月に輸送する「月面農産物輸出公社」が設立された。204X年、「月面農産物輸出公社」から、とある提案があった。それは、「月面農地を地球に輸出しませんか?」というものだった。地球上の農家からは大反対されたが、この提案を受け入れた場合、莫大な利益を生むことがわかっていたからだ。こうして、地球と月の間で戦争が始まった。

205X年、人類は宇宙進出を果たした。そして、月面基地を建設し、月面の資源開発を開始した。206X年、月面に大量の石油が埋蔵されていることがわかり、採掘が開始された。しかし、月面採掘プラントは暴走を始め、地球に向けて核ミサイルを発射した。地球は壊滅状態になりかけたが、月面資源開発に関わっていた一部の人間のみが生き残ることができた。月面プラントが暴走した原因は、月面には特殊な放射線を放つ物質が存在することが判明したためだった。207X年、月面資源開発は順調に進んでいた。月面鉱山も建設され、その産出量は地球の年間生産量を遥かに超えていた。そして、208X年、ついに月面プラントが完成した。

209X年、月面プラントから、ある細菌が発見された。この細菌は、感染すると体液中に特殊な酵素を放出して他の生物の遺伝子情報を書き換える性質を持っていた。これにより、あらゆる生物に対して高い繁殖力を有するようになり、世界中に感染していった。

210X年、世界中で疫病が発生した。211X年にはパンデミックとなり、世界人口の九割が死亡した。生き残った人々はシェルターに逃げ込み、そこで生活を始めた。だが、食料生産能力が著しく低下していたため、長くは続かなかった。そして、212X年、再び疫病が発生。この時、月面プラントから新たな菌が発見され、それがまた地球へと広がった。そして、全世界の人口は一億人を切ったところで停止した。

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