第108話「げろ吐きそう」
「げろ吐きそう。吐くぞ吐くぞ吐くぞ」
「で、でもさ! やっぱりやめようよ!」
ようやく口を開いたのは、今までずっと黙っていた三枝子だった。
「あのね、あたしも、あんたたちのことを信じてないわけじゃないわよ?」
「何言ってんだよ。げろ吐くぞ」
「でも、でもさぁ……」
「まあ聞けって。つまりだな、おまえらも知ってるとおり、俺様はお優しい人間なんだ。だから、俺様にもそれなりのリスクがあるならいいぜ? たとえばそうだな――」
げろを吐いた。
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