第107話「間接恫喝」

「バカなんだよあいつは!」

機関銃のように同僚にまくしたてる男。気に入らない部下の悪口を他人にぶつけるのが日常となっている。本人に直接言ったらパワハラだから、こうやって他人に大声で言いふらして本人の耳に届かせようとしている。なんか自分のせいで空気が悪くなってる……そうして職場にいづらくなって辞めてしまえばそれはそれででいい。この男だけじゃない。男女や入社年次問わずグループを作って陰口を言い合っている。俺もその会話に乗っかることもある。多分俺の悪口を言っている人もいるだろう。でも本気でケンカしてしまうのはもっと悪いことになるので暗黙の了解ということになっている。

これはいわば「間接恫喝」とでも呼ぶべきか。恫喝・冷笑・卑屈・陰口・ごますり・接待・忖度。これが日本人の必須スキルだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る