第87話「夜食」

「夜食でナポリタンとカルボナーラを食べたら胃がもたれた……」

「そりゃもたれるでしょ」

「若い時なら平気だったと思うんだけど……」

「まあそうかもしれないけど」

「歳はとりたくないね……、ふわぁ~」

「眠いの?」

「ちょっとだけ」

「寝てもいいよ。ちゃんと起こしてあげるから」

「ありがと」

電話を切り私はベッドに潜り込むとすぐに眠りについた。

「おやすみ」

目を覚まし、スマホを見ると時刻はまだ朝5時半。二度寝しようと思ったが、隣にいるはずの妹の夏帆がいないことに気づいた。

(トイレかな?)

そんなことを考えながらベッドを出るとリビングから話し声が聞こえてきた。どうやら夏帆がいるようだ。

「夏帆?」

「うん!」

「何やってんの?」

「それより夜誰と話してたの?」

「誰って……」

「誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰…………」

夏帆の顔が完全にイッちゃってる。

「ひえ……」

「誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰…………」

「あああああ!!」

俺は逃げ出した。

「待ってぇ〜~!ねぇー!誰なのぉー!?教えてよぉ~!ねえっ!ねえったらぁー!」

「嫌だー!!絶対に言わないぞぉー!」

俺は外へ出て必死に逃げ回った。家に帰れないじゃん……。

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