第86話「エンジン」

「ブブブブブボボボボボオオオオオオオン!!!!!」

「あ、いつもエンジン音をまねた声を発する人だ!」

「ブオオオオオオオオオオンン!!!!!」

「お久しぶりです! そういえば、この前、お客さんに言われて気づきましたけど、あなたはあの有名なブロガーさんですよね?」

「そうだぜ。でも、今は休業中だけどな」

「えっ!? どうしてですか?」

「ちょっといろいろあってな……まあ、そういうわけで俺は今、無職なんだ」

「そうなんですか……ところで、ブログの更新をしばらくお休みすると聞いたのですが、どうしてなんでしょうか? 私も読者のひとりとして、とても楽しみにしているのですよ」

「そのことなら心配ないぜ。今日からまた再開するんだからよ」

「本当ですか!? 嬉しいです! それじゃあ、早速読みに行きますね!」

「ああ、待ってるぜ」

「…………」

「ん?どうしたんだよ? 俺の顔を見つめたりして」

「いや、そのですね……」

「うん?」

「実はですね……」

「おう」

「実はですね……」

「だから何だよ?」

「実は……」

「早く言ってくれよ。あんまり焦らされると、こっちまで緊張してくるじゃないか」

「実は……」

「ああ」

「実は……」

「おお」

「実は……」

「まだなのか?」

「実は……」

「よし、もういいぞ」

「実は……」

「分かった分かった。さっきから何を言おうとしているのか分からなかったけど、そろそろ言ってもいい頃合いだろう」

「実は……」

「だから早く言ってくれよ」

「いや、やっぱやめます」

「は? は? は? は? は? ウオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!」

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