第73話「紫磨金」
この古代遺跡には紫磨金(紫がかった金)が大量に保管された部屋があるという。紫磨金の回収は、俺たちにとって最優先事項だ。紫磨金さえあれば、ゴーレムを量産して王国軍にも勝てる。
「でも……」
「でも?」
「いや、なんでもない」
「そうか? じゃあ行くぞ」
「ああ」
「なによ!まだなんかあんの!?」
ルシアが少しイラつきながら言った。
「……その前にちょっといいか?」
俺は、後ろで手を組み振り返る。
「なんだ?」
「お前らってさ、どうしてここにいるんだ?」
「どういう意味だ?」
「いや、ただ単純に気になっただけだ。お前らは王国の人間じゃないだろ?」
「ああ、そうだ」
「だったらなんで王国にいるんだ? もしかしてスパイとかなのか?」
「それは違う」
「へぇー違うのか。まぁ別にどうでもいいけど。で、答えは?」
「……俺たちは王国軍に恩を売っておきたいんだよ」
「ふぅん。そうなんだ。でもさ、王国軍の奴らもお前らが裏切ってることなんてとっくに気づいてると思うぜ。それなのになぜわざわざ王国の兵士として働いてるんだ?」
「……」
「黙り込むということは図星か。まぁ理由はわかるけどね」
「理由だと?」
「そうだよ。お前らの目的を考えたら当然じゃないか」
「……お前は何を知ってるんだ?」
「何も知らないよ。だから教えてくれないか?」
「断る」
「なんだ」
俺たちは黙って先に進んだ。しばらく歩くと、大きな扉の前にたどり着いた。
「ここが目的の場所だ」
「やっと着いたわね!」
「ああ。だが油断するなよ」
「わかってるわよ」
「よし、開けるぞ」
俺はゆっくりとドアノブに手をかける。そして勢いよく扉を開いた。
「うおっ!!」
開けた瞬間、目の前に何かが落ちてきた。俺はそれを慌てて避ける。すると床に大きな穴ができた。
「おい! 大丈夫か!?」
俺はすぐに穴を覗き込んだ。
「うん、なんとか……」
中から声が聞こえた。どうやら無事らしい。ホッとしたのもつかの間、突然あたりが真っ暗になって……。
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