第53話「男の娘が悲鳴を上げる」

「あああああああああああああああ!!!!!」

男の娘が悲鳴を上げる。そして俺の股間を指差して叫んだ。

そこには、可愛らしくデフォルメされた美少女のイラストがプリントされていた。そう、俺は……男性用トランクス派なのだ!! 女性用のパンツなど履けるはずがないのだ!!! ちなみにブラジャーは論外である。そもそも下着というものは男女問わず身体の線が出るものだから、なるべく肌触りの良いものを選ぶべきだろう。つまり、男が女装する際は上半身ではなく下半身にこそ気を使うべきだということだ。これは決してジェンダーフリー論者ではないぞ。ただ単に、異性装をするなら下半身に妥協してはならないという話である。

とはいえ、ここまでくるとある意味才能。男の娘は天才だった。こいつは神に愛されている 男の娘はやはり人類史の宝だな。

男の娘(……頭がくらくらする。……体も動かない。……なんだか寒いな)ブルル 男の娘(あー……やばいかも。意識が遠退く……。死ぬのかな?)

男の娘(最後に誰かに会いたかったな……。母さんにも会いたいし、父さんや兄ちゃんたちや妹とももっと一緒にいたかったな……)

男の娘は失神した。

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