第27話「虚無主義者をたしなめる」
討論番組で文学者が言った。
「あなたには失礼なことを言うけど、私は死んだら何も残らないと思います。何もない。虚無ですよ。天国も地獄もない」
仏法学者はこう答えた。
「例えば『全てのものは存在しない。まやかしだ、存在しているのを認識しているだけだ』と言う人がいるとすれば、その人は存在を存在とはせぬが、非存在を存在しているとしています。非存在を認識して、とらわれています。『死んだら何もない、虚無だ』というのは『虚無』と呼ばれるありさまがあると信じていることです。何にもとらわれていないようでとらわれがあるということです」
「ほほぉう…」
文学者は苦笑いを浮かべた。
「今の言葉はご自身のお考えですか?」
司会者が聞いた。
「いや、『達磨の語録』の受け売りです」
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