不変
この世に変わらないものなどあるのだろうか。
日々細胞が変わり粒子が動き、昨日より今日、今日より明日と老化している。しかし同時に新しい細胞や粒子が誕生しているのも事実である。毎日微量ながら変化はしているのだ。いわば成長。どれだけ成長が進もうと向かう先は朽ちる事。だから人は儚く尊いとされている。だがもし変わる事がなくそのままでいれたなら人は多分幸せだろう。同時にその不変に魅了され、新たな問題にもなるだろう。
人は皆不変を望みたがる。若くいたい。変わらずこのままでいれれば幸せなどと。
少なくとも私はそう思う。街中でふと貴方の面影を探してしまったり、挨拶を交わすだけで幸せになったり。そんな些細な事が私の幸せと言えるままが良かった。
いつからか私は変わってしまった。
今貴方は誰といるのか、誰を思い過ごしているのか、誰と出会っているのか、誰が好きなのか、私をどう思っているのか、私の事を好きか嫌いか。
私には分からない貴方を知りたい。貴方の全てを知りたい。貴方の全てを独占したい。たとえ貴方が私を見てなくても。
嘘。私を見て欲しい、認めて欲しい、褒めて欲しい、私しか知らない貴方を見せて欲しい。子供の様な欲求。満たされることの無い承認欲求。
そんな風に変わってしまった私はとても醜い。見た目でさえ人に劣っているのに心までも醜くなってしまう。そんな私を貴方は受け入れてくれないだろう。きっと貴方は身も心も整っている人を好きになるのだろう。
「どうして愛と共に憎しみ育つの?」
これは私が好きなアーティストの歌詞の1部。
高校の時から聞いていたがその時の私には分からなかった。だが今ならすぐに分かってしまう。ただこの曲の憎しみは愛しているのに自分を見て貰えない事に対しての憎しみであり、今私が持っている憎しみとは異なると思う。私は私が憎い。醜く変化してしまった私が。これだけ私を変えた貴方と出逢ったなら私は貴方を運命の人だと思いたい。運命の赤い糸なんて本当にあるのだろうか。今まで信じていなかったが今回だけは信じたい。赤い糸が存在する事。糸の先が貴方である事を。
こんな事を考えてしまう私はいつから変わってしまったのだろう。初心な私は小さな幸せで満たされていた筈なのに。
貴方を見て話せてそれで幸せと感じれる内に全てが止まって欲しい。
変化なんて望んでなかった筈なのに。
今の私は変わったね。と鏡に映る私は泣きながら見ている。
告吐 オンピー @zuka-goukin
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