妹と結婚していたら
俺は果物ナイフを持ち、首を斬ろうと当てた時だった。兄は一生懸命止めようと走り込んできたが、妹は何故か悲しそうに涙を流すだけだった。
結局止めようとせず、ただ死ぬのを惜しむだけかと俺は落胆し、本当に死んでやろう、そう思い突き刺そうとした時だった。記憶に残るあの妹の包丁投げが俺の持つ果物ナイフに当たり、俺は勢いでナイフを落としてしまった。
兄は妹の方を振り返り、ナイスと親指を立てたが妹は次に驚くことに懐に仕舞っていた拳銃であろうことか兄を撃ちはなった。
かわいた銃声が部屋に響く。
目の前に倒れる兄の姿。
返り血で真っ赤に染る俺の身体。
また地獄が現れた。俺はただひたすらに震えていると妹は俺に抱きつきながら言った。
「一生私が介抱してあげる」
「へ?」
妹は俺に何かを注射し、そこから俺の意識は無くなり気づけば真新しい衣装に身を包み、赤い道を歩む俺と、横には綺麗な姿をした妹のような人が居た。
「私と結婚してくれてありがとう。りくさん」
「うん。俺も君と結婚できて嬉しいよ」
俺の脳はそんなことを思っていないのに、何故か勝手に口が開き声帯が動き、言葉を発していた。
そう俺は妹に操られ、人形と化した。そして妹と結婚してしまった。
妹の歪な愛 徳田雄一 @kumosaki
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