11.「ドアに足をかけたらこちらのもの」。

誰かを説得するとき、大きな要求を呑ませることは難しい。しかし、小さな要求から呑ませ、徐々に大きくしてゆけば受け入れられやすい。


このような手法を「フット゠イン゠ザ゠ドア゠テクニック」という。意訳すれば、「ドアに足をかけたらこちらのもの」だ。


LGBT活動家の目的は、性自認に基づいたトイレを誰でも使えるようにすることだ。その手始めに、部分的に治療を受けた越境性差トランスジェンダーを表に立たせる。そして、「女子トイレに入れるべき」「診断も受けているのですよ?」と言う。


しかし、この問題は「生物学的な男性とは何か?」という話に収斂される。


性犯罪の九割は男性によるものだ。


強制性交等で逮捕された者は、

平成二十七年で男性929人・女性4人、

平成二十八年で男性871人・女性4人、

平成二十九年で男性906人・女性4人。


強制わいせつ罪で逮捕された者は、

平成二十七年で男性2633人・女性11人、

平成二十八年で男性2790人・女性9人、

平成二十九年で男性2828人・女性9人――である。


また、視覚的情報によって昂奮する傾向が男性は強い。


盗撮事件に関して言えば、令和三年だけでも5019件も起きた。


しかも、「視覚的情報」というのは、女の裸だけではない。女性の制服や女性の下着などでも昂奮する。時には、女子トイレや女湯などの女性スペースも昂奮の対象となってしまう。


自己女性化性愛オートガイネフィリアとは、自分が女性になることを空想して昂奮することだ。それは、女性を「エロいもの」と見ているから起こる。自分が「エロい」と感じる服を着れば、昂奮は強まる。その姿で、女性スペースやその他の施設に不法侵入する者もいる。


二〇一一年・八月十六日――読売新聞に次の記事が載った。


「栃木県警足利署は14日、埼玉県加須市浜町、会社員柿沼佑治容疑者(35)を建造物侵入の疑いで緊急逮捕した。発表によると、柿沼容疑者は13日午後11時10分頃、足利市内の県立高校で、校門をよじのぼり、屋外プールに侵入した疑い。(略)柿沼容疑者はセーラー服の下に女性用水着を着て侵入し、水着姿でプールで泳いでいた。柿沼容疑者は『女子高生の気分を味わいたかった』と話している。」


これは「まだ」笑い話の部類だろう。


だが、多くの性犯罪は巧妙であり、狡猾であることを忘れてはならない。


手術をする気がないならば、それは「女装」だ。


外見だけ女性化しつつ、手術しない男の真意など誰にも分からない。自己女性化性愛オートガイネフィリアなのか、Xジェンダーなのか、女装を完璧にしたいだけなのか、手術を躊躇しているだけなのか、その他の理由なのか。


また、女性ホルモンを打っても、全ての人が女性に見えるわけではない。しかし、「パス度」のない者も女子トイレを使う権利があるとLGBT活動家は言う。


それを許したとき、ただの女装が女子トイレに入ってきても見分けはつかなくなる。


実際、女子トイレに入れろという活動家の要求が、医師の診断が下りた者に留まるわけがない。


大阪で逮捕された女子トイレ男などは、四十年以上も生きてきて性同一性障碍の通院履歴がなかった。それでも、本人が「心は女性」と言ったのならば「トランス女性」なのだ。


そもそも、女性ホルモンを簡単に打てるところに問題がある。越境性別トランスセクシュアルへの治療を除き、男性への女性ホルモン投与は規制を考えねばならない。


ホルモン治療には保険を利かせるべきだ。そうすることで、どのような診断を行なっているか行政くにに把握させることができる。いい加減な医療に税金は出ない。ホルモン投与の基準は厳格化されるだろう。


加えて、MtF(男→女)への治療には条件を付ける必要がある。すなわち、以下の誓約に署名した後だけ治療を開始できるようにすべきだ。


・女子トイレなどの女性スペースは戸籍変更まで使わないこと。

・どうしても使いたい場合は、そこを使う女性と管理者の承認が不可欠であること。


これにより、違反者の逮捕を警察が躊躇する理由はなくなる。その上で、多目的トイレなどを増設し、当事者が外出時に苦労しないようにしなければならない。


そして最後に――様々な性犯罪への対策として、女子トイレの警備強化は必須である。


しかし、「『トランス女性』が女子トイレを使うこと」にLGBT活動家は拘泥する。それは、「トランス女性」を女性と認めず、本人のアイデンティティを踏みにじっているからだという。


挙句、「トランス女性」が女子トイレを使用することを批判すると、「『トランス女性』を性暴力の犯罪者と同一視する差別」と反論する。


ハフポストには次の記事が載っていた。


『トランスジェンダーが「女性の安全を脅かす」という言説は誤り。性暴力被害の支援者たちが訴える』

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6195e619e4b044a1cc02391e


「女子トイレに入ってくる越境性差トランスジェンダーと犯罪目的の男の区別が付かない」という問題については、「全国女性シェルターネット」と「性暴力被害者サポートひろしま」の代表者・北仲千里が答えている。


「一部の方たちが、女性として生活するトランスジェンダー女性と、性暴力加害者とを重ね合わせて見て、恐怖を感じる、女性の安全を脅かす存在だ、と言っています。(略)しかし、両者は別の人の話です。もし、トイレなどに盗撮に来るために女性に『変装』している人がいるなら、それは『変装』で、(生まれた時の性が男性で、女性として生きようとする人たちがする)女性的な装いとは別物です。(略)ですから、『紛らわしいから』と言って関係ない人を攻撃するというのは、それはしてはいけないと思います。」


仮にそうだとしても、越境性差トランスジェンダーに変装する人とはどう区別をつけるのか。


「心が女性だ」と言えば女性スペースに入れるようになるのか――という問題については、越境性差トランスジェンダーの仲岡しゅんが「なりません」と一刀両断している。


「全く性別移行のプロセスを経ていない人が、『自分は女だ』と自称すれば直ちに女性用トイレを使える。それがまかり通ると思いますか? 思いませんよね。」


なるわけがないのだ――普通は。


しかし、大阪で逮捕された女子トイレ男は、「性別移行のプロセスを全く経ていない人」だった。


では、戸籍とは違う性別のトイレへ入ることの是非はどうなのか?


仲岡はこう述べる。


「戸籍上の性別にしたがったトイレしか使えないようにしたら、逆に、混乱が生じます。一例ですが、髭の生えたトランスジェンダー男性が、戸籍上は女性だからということで、女子トイレを使うことになります。そうなった時、果たして、本当に混乱は生じないでしょうか? むしろ、その方が混乱が生じるんです。」


混乱が生じるのは当たり前だ。


性犯罪の九割は男性によるものである。また、二百人に一人の男性が性犯罪者と言われる。


こんな状況の中、男性にしかないはずの髭が生えた女性が女子トイレに入ってきたら混乱する。


その上で、「女装した男性」が女子トイレに入ることの是非が問われているのだ。


また、この手の問題では、次のような主張もよく見られる。


「プライベートな部分を晒す女湯になど入るわけがない。」

「女子トイレまではOKだけど、女湯はNGだ。」

「女湯に入れろなんて誰も主張していない。」


ところが、困ったことがある。


既に入っている人がいるのだ。

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