第19話 製パン用米粉を使った結果は……?

 160度のオーブンで10分焼いたあと、次に200度に温度を上げて15分焼く。


 15分経過したら、一度オーブンから取り出して上に被せてあったアルミホイルなどを全て取る。すると、真っ白でふっくらと膨らんだ生地が姿を現した。今までに感じたことのない、きれいな膨らみに、私は今度こそ上手くいったのではないか、と感じる。


 だが、工程はもう一つ残っている。最後に200度で15分焼かなくては。そのあとの出来次第で、全てが決まる。


 私は冷静に型を再びオーブンに戻し、他のことをしながら15分待った。そして——。


 ――チンッ!


 オーブンが、出来上がりの合図を告げる。すでにいい香りがしていた。まさしく「パン」の香りだ。


 私は扉を開け、型を取り出す。するとそこには、きれいな焼き色をした愛らしいミニ食パンが出来上がっていた。


 ――ああ! ようやく! ようやく完成した‼


 私は心の中で叫びつつ、型に敷いていたオーブン用シートを引っ張って、それを取り出す。シートを広げて出て来たのは、ふんわりと高さのあるミニ食パンだった。


 パンは完全に冷ましてから、パン切包丁で切った。


 出来立てを切ろうとすると、生地が包丁にくっ付いてしまい切りづらいので冷ましていたのだが、冷ましてもふんわりと柔らかくて切りにくい。そのため、ちょっと雑な切り方になってしまった。


 だが、雑な切り方でも断面は今までとは打って変わりとってもきめが細かい。指でさわってみるとふわふわなのが分かる。

 そして一口食べてみる。


 ――‼


 ふんわりとした食感が心地よく、味も香りもまさしくパンだった。生地には程よい水分量が残っているお陰で、少ししっとりしているが、重さは今までのと比べ物にならないくらい軽い。そのため、いくらでも食べられてしまいそうだ。


「製パン用米粉」の力、恐れ入った。本当に美味しい。


 その上、今までの苦労は何だったのだ、と思うくらい作るのが楽である。(そもそも私が意地を張らず「製パン用米粉」を最初から選んでいれば、これほど沢山の失敗をしなくて済んだのだが……)


「製パン用米粉」を使った方法であれば、初心者の方でも美味しくパンが作れる。

 もちろん、発酵の見極めやお湯の加減は経験によるところもあるので、初めての人は少し難しく感じるかもしれないが、「製パン用米粉」を使ったら成功率はぐんと上がる。多分、8回の経験を積まなくても上手くできるだろう。


 これから米粉パンを作りたい、と思っている方は、是非「製パン用米粉」を購入して欲しい。まずはそれで成功してから、別のものに取り組んでみるとよいだろう。


 以上、米粉パン研究室、これにて閉幕である。


 *この後、「ティーブレイク」と「あとがき」が続きます。

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