第14話 5回目
5回目の挑戦である。改めて使う道具などを確認しよう。
<使う道具・消耗品>
・耐熱用ボウル(小)
・泡だて器
・ゴムべら
・ハンドブレンダー(フードプロセッサーでも可)
・オーブン用シート
・ラップ
・アルミホイル
・パウンドケーキの型
・計り(0.1gまで測れるデジタル式のもの)
・温度計(湯の温度を計測)
・オーブン
・計量カップ
同じレシピを使うので、変わった点はない。
次に材料である。
<材料>
・米粉(製菓用)……80g
・
・きび砂糖……5g
・ドライイースト……2g
・塩……1g
・お湯……73g(37度)(実際に使用した量)
・米油……5g
前回しょっぱさがまだ強く感じたので、0.5g減らしている。
それ以外のところで大きく変わったところはない。お湯の量が少なくなり、温度が若干低いくらいだろうか。
それでは早速作っていこう。
作り方は4回目と同じである。米粉、細かく砕いた葛澱粉、きび砂糖、インスタントドライイースト、塩をボウルに入れて泡だて器でよく混ぜる。
その後、お湯は少しだけ残した状態で、米油と共にボウルに入れる。
生地はゴムべらでしっかりと混ぜる。なめらかになり、ツヤが出てくるまで行う。混ぜている間に、生地が乾燥するような状況になったらお湯を適宜足す。残していたお湯でも足りなかった場合は、分量外のお湯を足してよいとされているが、今のところは大丈夫そうだ。
生地を混ぜ終えたら、型に流し入れる。とろりとしているので、一方に
全て入れ終えたら、型にラップをかけて乾燥を防ぐ。
その後、オーブンに入れ、発酵機能で生地の発酵を30分行う。
30分経過し、生地が1.5倍に膨らんだように思えたところで、発酵完了。オーブンから取り出し、160度に予熱。
その間、生地は常温で発酵していくのだが、今までで一番膨らんでいるような気がする。これはもしかするといい感じ……なのかもしれない!
オーブンの予熱が完了したところで、型の上にオーブン用シートとアルミホイルを被せて、オーブンに入れ、160度の状態で10分焼く。その後は、4回目のときと同じ要領で生地を焼いていく。
――チンッ!
1度目の200度設定で15分焼いたときの合図が鳴った。
次に焼き色を付けるため、一旦オーブンから取り出しアルミホイルなどを取ったのだが、そのときおかしなことが起こっていた。
生地が焼けていないのである。
火が通っていないどころではなく、全く焼けていない。生地は生のまま。未だに発酵中の状態。
——どういうこと、だ……?
頭の上にクエスチョンが見えてしまうくらい、首を捻る私。
オーブンに顔を近づけてみると、不思議なことに強い熱も感じられないし、取り出した型もそれほど熱くもない。何故だろう……と思って、オーブンの設定を見たら「イースト発酵」のままになっていた。
——……。
予想外の出来事に、私の目は点になった。きっとそうなっていたに違いない。
ケアレスミスである。だが、大きな失敗。とてもガッカリした。
混ぜたときの生地を思い出す限り、いい出来になりそうだったので、焼くところで失敗してしまったことにショックを受けた。
現代のオーブンだったらきっとこんな失敗はないだろう。設定はデジタル式だろうし、常にオーブンがどういう設定になるのかパネルで知らせてくれるはずだ。
……いや、オーブンのせいにしてはいけない。古いオーブンだと分かっていたのだから、気を付けなければいけなかったのだ……。はぁ。
これはもう、どうしようもない。元々おっちょこちょいなのだ。このミスを今起こさなくたって、どうせ今後どこかでしでかすに決まっている。とりあえず、今の段階で自分がやらかしそうなミスに気が付いて良かった。今後はそうならないように気を付けよう。うん。
さて、(ほったらかしにしていた)生地であるが、私は渋々とオーブン用シートとアルミホイルを元に戻し、今度こそ160度に予熱したオーブンに入れて焼き、同じ工程を繰り返す。
多分、生地は過発酵になってしまっているだろうから、絶対に美味しくはない。しかし、折角だから過発酵というやつがどういうものか見てみようではないか。
パンの発酵には「丁度いい」ところがある。発酵が足りなくても、十分なのを超えてしまうのもいけないのだ。
――チンッ!
200度で焼く工程が終わったとき、オーブンが合図した。
――どんな状態になっているのだろうか。
どきどきしながら、アルミホイルなどを取ってみると、真ん中がべっこりとへこんだ生地が姿を現した。どうやら過発酵すると、こういう状態になるらしい。
きめも粗い。大きな気泡が出来ていて、ぼこぼことしている。
とりあえず、レシピではもう一度200度で焼かなければいけないので、それをオーブンに戻し、15分焼く。
――チンッ!
再び合図が鳴り、全ての工程が終わった後、私はすぐに手で千切って食べてみた。
味はまあまあいい。塩をさらに減らしたので、強く感じていた塩気はなくなった。
しかし、食感は良くない。「もちもち」と言えば聞こえはいいが、どこかべちゃっとしていて、歯切れが悪い。もちの食感に近いともいえるが、パンを目指しているので、これはいただけない。
空洞が大きく、生地が水を多く吸ってしまったのか、しっとり感も強い。
途中までは良かったのだが、痛恨のミスによりもう一度行わなくてはならなくなった。
気持ちを切り替えて、6回目を行う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。