性交2ーーー!

エレジー

第1話

不謹慎にも“和尚がツー!(お正月)”みたいなテンションで言ってしまいましたけれど、世の中には性交痛の悩みを抱えている奥様方が結構いるみたいです。




先日、いつも読む私のバイブル『日刊現代』という新聞に性交痛の記事が書かれていたのを目にした。




この『日刊現代』、政治経済、事件、事故から、健康、芸能、ワーーオ(エロい時のテレビの効果音)の事など、160円とは思えないボリュームある内容の新聞。




新聞の宣伝は置いといて性交痛の話。




記事によると、閉経間際の女性というのはホルモンバランスの変化が体の中で起こる。それに伴って、濡れなくなってしまう女性が多いとの事。




閉経間際でなくとも生理不順の女性なんかでもあるらしい。そして、女性はなかなか、その悩みを男性に打ち明けにくいと書かれていた。




確かに、性交痛があるという事は濡れていないから痛いという事。




なわけで、それを言われた男性はあたかも「あなたのテクニックが不十分だから濡れないのよ」と言われているみたいに思う男性もいて当然。




だから、女性の身体の仕組みをよく理解していないと誤解をしてしまう。その痛みはセックス自体が嫌になるほど苦痛との事。




そして、性交痛の悩みを抱える女性は次第にセックスを拒むようになる。




男性は単純だからセックスを拒まれるとプライドが傷付き機嫌が悪くなる。そうなると夫婦仲も次第に悪くなり離婚へ。




という夫婦が増えているらしい。




嫌いでもないのに離婚するなんて、こんな悲しい事はない。やはり、これは普段からのコミュニケーション不足だと思う。




私たち夫婦は結婚して20年立つけど、だいたい月に3回ほど営みがある。




それも決まって午前中。




私の仕事が休みで子供たちが学校に行っている時にすると決まっている。子供たちが寝てからなんて、途中で起きてこられて見つかるなんて想像しただけで恐ろしい。




なので、コロナウィルス騒動で休校期間は当然、営みはなし。




というか休校期間が明けても、コロナウィルスに過敏症気味な嫁が触らせてくれないんじゃないかと思っていた。




普段からコロナウィルスに悠長に構えている私にマスクや手洗いの監視の目を光らせていたからだ。




「アンタ、ちょっと手洗いの時間早すぎるんちゃう?」




みたいに。




そして、休校期間が明けた日。私が休みで家にいる時。




「今日、子供たち何時に帰ってくるん?」




「〇〇時やけど・・・え、もしかして、私の事狙ってるん?」




「え、いや・・・、その何時に帰るんかな~って・・・」




勘の鋭い嫁には全てお見通しらしい。




「やるんだね!こんなコロナウィルス真っ最中の時に、超濃厚接触しちゃうんだね!」




「ま、まぁ、ね~・・・」




元気のないぼる塾のような返事をする私。という訳で断られると思いきや、まさかの1ヶ月振りくらいの営みが決まった。




「ところでママって性交痛ってあるん?」




タイムリーな記事で私の頭ん中は満たされていたので、ド直球に聞いてみた。




「私、子宮のんがあるからあまり強く突かれすぎたら痛いけど、濡れなくて痛いっていうのはないかな?」




嫁は子宮の病気を患っていて、少し子宮が腫れていた。なので、強く突き過ぎると痛みを訴えることがたまにあった。




そんな時は「今日は子宮が痛いから優しくね!」なんて言ってくれるから、私もわかりやすかった。子宮の痛みを訴える時は打ち付けずに出し入れに緩急をつけたりしていた。




まぁ、これも性交痛といえば性交痛。でも、それは毎回ではなかった。




「それなりに濡れるし・・・ね~?」




確かに終わった後、シーツに(ワーーオ!)ができる事もあった。だから、濡れなくて痛いなんて私自身微塵にも思ってなかった。




そして、1ヶ月振りの営みが始まった。




最近、嫁も50歳になったせいか生理が来なくなる事がたまにあった。だから閉経も近いのかな?って話しに出る事もあった。




ホルモンバランスの変化も起きているのか、心なしかいつもより濡れ方に違いがあった。でも、それなりに濡れてきて、いつものように入れて!という合図がなかったけれど挿入。




出し入れしてる時に「少し痛いかな?」と嫁が言った。私はてっきりいつもの子宮の痛さだと思い、打ち付けずに出し入れに変化をつけた。




縄文時代の火おこし並みに・・・そして、フィニッシュ。




いつもならイク嫁がイカなかったので罪悪感を感じ、すぐさま(ワーーオ!)をしてイカせた。




そして、事が終わり嫁が一言。




「あたし、性交痛かも!」




話によると、私が出し入れしている間ずっと痛かったらしい。




なのに、アタイったら、てっきり子宮の痛さとばかりだと思い込み、打ち付けずに縄文時代の火おこしの如く出し入れを早くするという愚の骨頂。




そら痛かったと思う。




打ち付けなければ大丈夫と思い、出し入れの引っ掛かりが気持ちいいだろと間違った思考に。最後のフィニッシュなんて、ほんまに火着くんちゃうかというくらいめっちゃスピードアップしてしまった。




とんでもなく痛かったと思う。ってか、どんだけタイムリーやねん!




言うたそばから、性交痛なんて。(笑)




「そうか、そりゃゴメン!俺はてっきり子宮や思て、出し入れスピードアップしてもーたわ。逆いってもうたなー。」




「ホンマ、コイツどついたろか思たわ!(笑)」




「まぁ、性交痛には、ジェル使えばエエらしいからな。」




営みも終わり、テレビを見ていた私たち。




「そうか・・・あれが性交痛か・・・」




嫁がしみじみ呟いた。




「え、まだ余韻に浸ってんの?」




「あ、いや、新鮮で・・あれが性交痛ね~・・・」




嫁にとっては性交痛がとてつもなく新鮮だったらしい。夕方、子供も帰ってきて、嫁さんが台所で夕食の準備をしている時。




「そうか・・・あれが・・・」




聞こえるか聞こえないくらいの微妙なボリュームで嫁が呟いた。




「いつまで浸っとんねん!子供帰ってきてるっちゅうねん!(笑)」




果たして、こんなに明るく性交痛の話題を話している夫婦っているのだろうか?




さっ、口コミランキングで、いいラブローションでも探すか!(笑)

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