第6話 初のAIレジ

 夕方に食べる予定のコンビニ食を手に取り、レジに並ぶ。

 俺の目の前の人は、70か80歳くらいの女性だった。手にしている商品は少ないが……。


(やっぱりか……)


 小さな財布から取り出す現金。小銭もあるようで、少し動きにくそうな指で硬貨を摘んでいる。


 チャリン。


 小銭が、床に何個か転がる。慌てて店員がレジから出てきて、一緒に小銭を拾い始めた。

 俺も咄嗟の反応で、近くに転がってきた小銭を拾って、女性に渡す。


「どうも、ありがとう」


 優しい声に俺は「いいえ」と返す。

 そんな俺の後ろで舌打ちが聞こえた。


「まだかよ……」


 嫌な声だな。と思っている。隣のレジから声がした。


「次の方どうぞ」


 パネルからの声。AIレジだった。

 まだ利用したことのない俺は躊躇したが、舌打ち客の背後からの圧力に押されて、そそくさとAIレジへ向かった。


(お先にどうぞ、と譲ればよかった)


 と思っても、もう遅かった。

 パネルのあるレジへ行く。


「商品を印の場所に置いてください」


 ペットボトル飲料と夕方食べる予定のご飯、スナック菓子を置く。


「レジ袋は必要ですか?」

「はい」

「合計で987円になります」


 スマホを操作して、ウォレットのアプリを起動させる。


「優しいんですね。先ほど、小銭を拾っていたのを見て、感心しました」

「え?」

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AIレジ 宮澤 ハル @SaKiKo-38

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